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- 家計調査14年6月~駆け込み需要の反動の影響が和らぐ
■見出し
・実質消費支出の減少幅が縮小
・実質所得の改善が個人消費回復の鍵
■要旨
総務省が7月29日に公表した家計調査によると、14年6月の実質消費支出は前年比▲3.0%(5月:同▲8.0%)となった。減少幅は前月から大きく縮小した。月々の振れが大きい住居、自動車などを除いた実質消費支出(除く住居等)も前年比▲3.7%(5月:同▲6.4%)と減少幅が前月から縮小した。
実質消費水準指数(除く住居等、季節調整値)は14年3月に前月比10.8%と急増した後、4月が同▲14.2%、5月が同▲1.1%、6月が同3.5%となった。消費税率引き上げ後の4月、5月に水準を大きく切り下げた後、6月に持ち直すというパターンは前回の消費増税時(97年度)と同様だが、直前の駆け込み需要が大きかった分、今回のほうが水準の下がり方も大きくなっている。
同日、経済産業省から公表された商業販売統計によると、14年6月の小売業販売額は前年比▲0.6%(5月:同▲0.4%)となり、減少幅は前月とほぼ変わらなかった。季節調整済指数で見ると、3月が前月比6.4%、4月が同▲13.6%、5月が同4.6%。6月が同0.4%となっている。駆け込み需要が特に大きかった家電製品について機械小売業の販売額で確認すると、3月に前月比22.9%の急増、4月に同▲36.3%の急減となった後、5月は同4.1%、6月が同7.0%と持ち直しの動きが続いている。商業販売統計でみると、6月の販売額は駆け込み需要が本格化する前の水準に戻りつつあるが、同統計の販売額には消費税分が含まれていることには注意が必要だ。物価上昇分を考慮した実質ベースの販売額は依然として駆け込み需要発生前の水準を大きく下回っている。
6月の消費関連統計は駆け込み需要の反動の影響が和らぎ、個人消費が持ち直しに向かい始めたことを示すものとなった。ただし、消費増税後の個人消費が駆け込み需要の反動以上に落ち込んでいる可能性がある。反動減に加え、物価上昇に伴う実質所得の低下が個人消費の押し下げ要因となっているものと考えられる。
名目賃金(現金給与総額)は4月が前年比0.7%、5月が同0.6%と緩やかに増加しているが、消費税率引き上げによって物価上昇率が大きく高まったため、実質賃金は4月が前年比▲3.4%、5月が同▲3.8%と大幅に低下している。夏のボーナスが反映される6月、7月の賃金の伸びが大きく高まり実質所得が改善することが、夏場以降の個人消費回復の鍵となるだろう。
(2014年07月29日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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