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- 【米金融政策】「前人未踏」の利上げへ
■要旨
米国の出口戦略への議論が活気を帯びている。
米国では、量的緩和策の縮小(テーパリング)が淡々と進められ、今年10月のFOMCでのテーパリング終了が視野に入っている。金融政策の焦点は「緩和の縮小」から「引き締め」に移り、6月のFOMC後の記者会見では、イエレンFRB議長が今年後半には「出口戦略の原則」の修正版(原案は2011年に合意)を公表すると言及している。
出口戦略の中心は、大きく「FRBが抱える資産の償還部分について再投資をせずにバランスシートを縮小すること」と「政策金利を引き上げること(利上げ)」の2つに分けられる。米国の場合、これらが並行して実施されると見られ、つまり、「多額の超過準備を抱えた状態で利上げ」をすることになる。
6月、ECBが主要中銀として初のマイナス金利導入に踏み切ったことで話題になったが、FRBが想定する「多額の準備預金を抱えた状態での利上げ」も前人未踏の金融政策と言える。
利上げは、中央銀行が市場に送るシグナル(中銀の引き締めスタンスを示す)が明快であるだけに、そのアナウンス自体に注目が集まるが、「多額の準備預金を抱えた状態での利上げ」は、前例がない引き締め政策であり、技術的な側面や実際の市場金利の反応にも注目したい。
実は、量的緩和後に利上げを実施したという前例は存在しており、2006年の日本が代表的である。金融危機以降でも、2010年にカナダが利上げに踏み切っている。しかし、両国ともに「多額の準備預金を抱えた状態での利上げ」ではなかった。
一方、英国では、早ければ今年中にも利上げをするという観測が台頭しており、イングランド銀行は米国と同じく大規模なバランスシートを抱える。つまり英国は、「多額の準備預金を抱えた状態での利上げ」の先駆者となることが想定される。
そこで本稿では、日本やカナダの利上げ時の状況がどのようになっていたのか、また英国や米国がどのような状況に置かれているのかを整理したい。
(2014年07月04日「基礎研レター」)
03-3512-1818
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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