- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 日本経済 >
- 雇用関連統計14年5月~雇用情勢は改善傾向が継続
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
■見出し
・失業率は前月から0.1ポイント低下の3.5%
・雇用情勢は改善傾向が継続
■要旨
総務省が6月27日に公表した労働力調査によると、14年5月の完全失業率は前月から0.1ポイント低下し3.5%となった。
労働力人口が前月から35万人の増加となる中、就業者数も35万人増加し、失業者数は前月に比べ3万人の減少となった。労働市場への参加者が増える中でも失業率が低下したことは前向きに捉えることができるだろう。失業者の内訳を求職理由別(季節調整値)にみると、自発的な離職による者(自己都合)の割合が上昇し、雇用契約の満了や事業の都合といった非自発的離職による者の割合が低下する傾向が続いており、失業の深刻度も和らぐ形となっている。また、景気回復に伴う人手不足感の高まりから企業が新卒採用を大幅に増やしていることを反映し、失業者のうちの学卒未就職者は4月が前年比▲3万人減の19万人、5月が同▲2万人減の15万人となった。
厚生労働省が6月27日に公表した一般職業紹介状況によると、14年5月の有効求人倍率は前月から0.01ポイント上昇の1.09倍となった。失業者の減少を反映し、有効求職者数が前月比▲0.2%と4ヵ月連続の減少となる一方、有効求人数は前月比1.3%と2ヵ月連続で増加した。
有効求人倍率の先行指標である新規求人倍率は前月から横ばいの1.64倍となった。新規求人数、新規求職者数ともに前月比▲1.5%の減少となった。新規求人倍率が引き続き高水準であることは変わらないが、2月の1.67倍からはやや低下しており、新規求人数の増加ペースも鈍化傾向にある。消費増税後の景気減速を受けて企業の求人意欲が若干弱まっている可能性もあるだろう。
消費税率引き上げ後の景気関連指標は個人消費を中心に弱めの動きも見られるが、雇用情勢は改善傾向が継続している。ただし、雇用関連指標はあくまでも景気の遅行指標であることは念頭に置いておく必要がある。前回の消費税率引き上げ時は97年5月をピークに景気は後退局面入りしたが、失業率、有効求人倍率が悪化し始めたのは97年秋から98年初め頃にかけてであった。
雇用情勢が急速に悪化するリスクは非常に低いと考えられるが、消費増税後の景気減速を受けて改善基調がいったん足踏みとなる可能性はあるだろう。
(2014年06月27日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1836
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
斎藤 太郎のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/05/02 | 雇用関連統計25年3月-失業率、有効求人倍率ともに横ばい圏内の動きが続く | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
2025/04/30 | 2025年1-3月期の実質GDP~前期比▲0.2%(年率▲0.9%)を予測~ | 斎藤 太郎 | Weekly エコノミスト・レター |
2025/04/30 | 鉱工業生産25年3月-1-3月期は4四半期ぶりの減産、トランプ関税の影響で4月以降も低迷が続く見込み | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
2025/04/18 | 消費者物価(全国25年3月)-コアCPI上昇率は25年度入り後も3%台が続く公算 | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
新着記事
-
2025年05月02日
金利がある世界での資本コスト -
2025年05月02日
保険型投資商品等の利回りは、良好だったが(~2023 欧州)-4年通算ではインフレ率より低い。(EIOPAの報告書の紹介) -
2025年05月02日
曲線にはどんな種類があって、どう社会に役立っているのか(その11)-螺旋と渦巻の実例- -
2025年05月02日
ネットでの誹謗中傷-ネット上における許されない発言とは? -
2025年05月02日
雇用関連統計25年3月-失業率、有効求人倍率ともに横ばい圏内の動きが続く
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
【雇用関連統計14年5月~雇用情勢は改善傾向が継続】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
雇用関連統計14年5月~雇用情勢は改善傾向が継続のレポート Topへ