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- 動き出すユーロ圏の銀行同盟-制度の脆弱性克服の決め手となるか?
■要旨
銀行同盟は、ユーロ危機が最も深刻化していた12年半ばに動き出したユーロ圏の銀行行政を法的・制度的に一元化し、銀行市場の統合の段階を引き上げる取り組みである。EUの単一規則集を土台とし、単一銀行監督制度(SSM)、単一銀行破綻処理制度(SRM )、調和が進んだ預金保険制度という三本の柱から成る。
三本の柱のうちSSMは2014年11月4日に始動し、SRMは15年1月に導入される。SRMの破綻処理基金は2016年から8年かけて段階的に積立、単一化する。預金保険制度は法改正で一層の調和と「自発的な」相互融通の道が拓かれたが、一元化は議論されておらず、このまま棚上げとなる可能性も高い。
銀行同盟によって、通貨を共有する地域内での銀行監督と政府の支援能力のばらつきというユーロ制度の重大な欠陥はある程度修正される。しかし、母国監督主義・政府間主義的性格を色濃く残すため、ユーロ圏の脆弱性を克服する決め手とはならない。参加国政府や関係当局間の連携で補い、円滑に運営されることが期待される。
政府の資金繰りの不安の後退で、ユーロ圏の最優先課題は、景気の回復、とりわけ債務危機に見舞われた国々の雇用の増大に移った。銀行同盟の真価は、域内の資本移動を円滑にし、ユーロ圏の成長と雇用に貢献できるかという点で問われることになるだろう。

03-3512-1832
(2014年05月30日「基礎研レポート」)
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