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- 鉱工業生産14年3月~5四半期連続の増産も、4-6月期は減産が不可避
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■見出し
・5四半期連続の増産
・消費税率引き上げ後の在庫動向に注目
■要旨
経済産業省が4月30日に公表した鉱工業指数によると、14年3月の鉱工業生産指数は前月比0.3%と2ヵ月ぶりの上昇となり、ほぼ事前の市場予想(QUICK集計:前月比0.5%、当社予想は同▲0.2%)通りの結果となった。出荷指数は前月比▲1.2%と2ヵ月連続の低下、在庫指数は前月比1.8%と8ヵ月ぶりの上昇となった。
14年1-3月期の生産は前期比2.8%と5四半期連続の上昇となり、13年10-12月期の同1.8%から伸びを高めた。業種別には駆け込み需要の影響で国内販売の好調が続いた輸送機械が前期比4.2%と好調を維持する一方、鉄鋼(前期比▲0.2%)、情報通信機械(前期比▲0.5%)は10-12月期の上昇から1-3月期は低下に転じており、業種別にはばらつきが見られた。
製造工業生産予測指数は、14年4月が前月比▲1.4%、5月が同0.1%となった。14年3月の生産指数を4月、5月の予測指数で先延ばしすると(6月は横ばいと仮定)、14年4-6月期は前期比▲1.9%となる。6四半期ぶりの減産となることはほぼ確実だが、13年度後半の生産が駆け込み需要によって大きく押し上げられていたことを考えれば、このこと自体はあまり悲観的に考える必要はないだろう。
それ以上に気になるのは在庫の動きだ。在庫指数は消費増税前の駆け込み需要の影響から低下傾向が続いてきた。しかし、3月は生産指数が小幅な増加となる一方、出荷指数が2月の前月比▲1.0%に続き3月も同▲1.2%の減少となったことから、在庫指数が前月比1.8%の急上昇となった。前回の増税前後の在庫指数の動きを確認すると、97年3月に前月比▲2.2%の急低下となった後、増税後の最終需要の落ち込みを受けて4月以降に急上昇したが、今回は増税前の段階で在庫指数が上昇する形となった。
3月の急上昇は、輸送機械の在庫指数が前月比20.2%となるなど輸出の船待ちという一時的な要因の可能性もあること、今回は比較的早い段階から企業が在庫の抑制を図ってきたため在庫水準自体はそれほど高くないことから、現時点では在庫の積み上がりをそれほど深刻に考える必要はないかもしれない。ただし、消費税率引き上げ後には最終需要の落ち込みに伴い在庫がさらに積み上がることは避けられない。3月時点の企業の計画では4月以降の生産調整のペースは比較的緩やかなものにとどまっているが、最終需要の落ち込みが想定以上のものとなれば、意図せざる在庫が積み上がることにより生産計画の下方修正を余儀なくされる可能性がある。生産の先行きを占う上では4月以降の在庫の動きが注目される。
(2014年04月30日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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