2014年04月01日

【アジア新興経済レビュー】政治の動きに注目が集まる

経済研究部 准主任研究員 斉藤 誠

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  1. (実体経済)
    タイは輸出に改善が見られるものの、内需の不振が続き、生産が低迷している。台湾は1-2月の経済指標では輸出主導型の回復の兆候が見え始めている。インドは10-12月期の経常赤字(GDP比)が0.9%となり、前期1.2%と比べて改善した。金の輸入関税の引き上げなど貿易収支改善に向けた政府の取り組みが奏効している。
  2. (インフレ率)
    インフレ率は、インドが順調に低下する一方、インドネシアが依然として高水準で続いている。また、フィリピンではトラック規制に伴う運送コストの上昇がみられ、インフレ懸念が増している。
  3. (金融政策)
    インドネシアで金融政策決定会合が開催されたが、足元で通貨が安定していることや1月の洪水被害の物価への影響がほとんど見られなかったことから、政策金利は据え置かれた。また、インフレ懸念が高まりつつあるフィリピンでは預金準備率が1%引き上げられたものの、利上げは見送られた。
  4. (3月の注目ニュース)
    タイでは2月に実施された総選挙の無効判決が下り、新政権の発足が先送りされることが決まった。さらに4月上旬にはインラック首相が汚職の関与で告発される可能性があるなど、現政権に旗色が悪い状況へと事態が進んでいる。台湾では、中台サービス貿易協定に反対する学生が立法院を占拠した。中台関係の進展に支障が出ないか、今後の政府の対応と世論の変化に注目が集まる。
  5. (4月の主要指標)
    4月下旬には、韓国と台湾でGDPが公表される。10-12月期は、韓国が内需、外需ともに改善が続いたものの、台湾は外需に遅れが見られた。輸出主導経済の両国では外需の動向が消費・投資の持続性にも影響するだけに、外需の回復ペースには注意が必要だ。
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経済研究部   准主任研究員

斉藤 誠 (さいとう まこと)

研究・専門分野
東南アジア経済、インド経済

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