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- 毎月勤労統計14年1月~所得環境の改善基調は続く
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■見出し
・現金給与総額は前年比で3ヶ月ぶりの減少
・雇用環境の回復基調が明確に
■要旨
3月4日に厚生労働省から発表された2014年1月の毎月勤労統計(速報)によると、1月の現金給与総額は前年比▲0.2%(12月:前年比0.5%)となり、3ヶ月ぶりに減少した。
さらに、消費者物価が上昇基調を強めていることから、1月の実質賃金は前年比▲1.8%(12月:前年比▲1.3%)となり、7ヶ月連続で減少している。
現金給与総額の内訳を見てみると、所定内給与が前年比0.1%と20ヶ月ぶりにプラスとなった上、所定外給与が前年比4.3%と増加したため、定期給与(所定内給与+所定外給与)は前年比0.4%と20ヶ月ぶりに増加した。ただし、毎月勤労統計は速報から確報になる際に、所定内給与は下方修正される傾向があるため、プラスに転じたと判断するのは早計だろう。1月の特別給与は前年比▲14.6%と5ヶ月ぶりに減少しているが、11~1月の特別給与を合計すると前年比1.1%となった。すでに発表されている各種アンケート調査同様に、今年度の冬季賞与は昨年度よりも増加したとみられる。なお、毎月勤労統計の年末賞与に関する最終結果は、11~1月の「特別給与」のうち賞与として支給されたものを特別集計したものが、4/1に公表される予定である。
所得環境は、景気回復に伴う所定外給与の増加や企業収益の改善を受けた年末賞与の増加から、改善基調が明確になっている。さらに、2014年春闘においてベアが実現する可能性が高まっていることから、先行きの所得環境は改善に向かうだろう。ただし、消費者物価が上昇基調を強めていることから、実質賃金は7ヶ月連続で減少しており、個人消費の減速が懸念される。
1月の常用雇用者数は前年比1.3%(12月:前年比1.1%)となり、緩やかな増加基調が続いている。その内訳を見てみると、一般労働者は前年比1.2%と増加基調を続ける中、パートタイム労働者も前年比1.2%と増加基調が続くなど、雇用環境の回復基調が明確にみられる。
ここ最近まで見られた給与水準の高い一般労働者(正規雇用)を減らし、その分を給与水準の低いパートタイム労働者(非正規雇用)で賄おうとする動きが緩和しているようにみえる。ただし、毎月勤労統計は速報から確報になる際に、一般労働者は下方修正(過去6ヶ月の平均0.4%)、パートタイム労働者は上方修正(過去6ヶ月の平均1.1%)される傾向がある。過去6ヶ月平均の修正幅を当てはめると、1月の確報では一般労働者は前年比0.8%、パートタイム労働者は前年比2.3%となる。速報から確報への統計上のクセを考慮しても一般労働者(正規雇用)は増加基調にある。一般労働者(正規雇用)が本格的な増加基調に転じ、パートタイム労働者(非正規雇用)比率が下がり続ければ、一人当たり賃金は上がりやすくなるだろう。
(2014年03月04日「経済・金融フラッシュ」)
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押久保 直也 (おしくぼ なおや)
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