- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 日本経済 >
- 貿易統計13年11月~13年度末にかけて高水準の貿易赤字が続く見込み
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
■見出し
・貿易赤字は拡大傾向が続く
・外需が景気の牽引役となることは期待できず
■要旨
財務省が12月18日に公表した貿易統計によると、13年11月の貿易収支は▲12,929億円と17ヵ月連続の赤字となり、赤字幅はほぼ事前の市場予想(QUICK集計:▲13,218億円、当社予想は▲14,184億円)通りとなった。円安の影響から輸出入ともに高い伸びとなったが、輸入が前年比21.1%(10月:同26.2%)と輸出の伸び(10月:前年比18.6%→11月:同18.4%)を上回ったため、貿易赤字は前年よりも拡大した。
季節調整済の貿易収支は▲13,463億円の赤字となり、10月の▲10,868億円から赤字幅が拡大した。輸出が前月比▲0.2%(10月:同1.4%)と2ヵ月ぶりに減少する一方、輸入が前月比3.5%(10月:同0.6%)の高い伸びとなった。四半期ベースの貿易赤字は13年4-6月期の▲8.8兆円(季節調整済・年率換算値)から7-9月期には▲11.7兆円へと拡大したが、10、11月の平均は▲14.6兆円と赤字幅がさらに拡大している。
先行きについては、輸出は持ち直すものの、消費税率引き上げ前の駆け込み需要を主因として輸入は高めの伸びが続くことが見込まれるため、13年度末にかけて高水準の貿易赤字が続く可能性が高い。
11月の輸出数量指数を季節調整値(当研究所による試算値)でみると、米国向けが前月比▲1.5%(10月:同6.3%)、EU向けが同▲3.8%(10月:同3.0%)、アジア向けが同3.6%(10月:同5.1%)、全体では同0.8%(10月:同2.2%)であった。10、11月の平均を7-9月期と比べると、米国向けが2.8%、EU向けが0.0%、アジア向けが4.2%、全体では1.8%高くなっており、輸出は全体として持ち直していると判断される。
一方、輸入数量指数(季節調整値)は前月比2.8%(10月:同0.6%)と堅調を維持しており、10、11月の平均は7-9月期平均よりも2.8%高くなっている。
7-9月期のGDP統計では、輸出が前期比▲0.6%となり、外需寄与度が前期比▲0.5%と3四半期ぶりに成長率の押し下げ要因となった。10-12月期は、輸出は増加に転じるものの、内需堅調を反映し輸入も増加を続けることから、現時点では外需寄与度は前期比でゼロ近傍になると予想している。引き続き外需が景気の牽引役となることは期待できないだろう。
(2013年12月18日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1836
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
斎藤 太郎のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/05/02 | 雇用関連統計25年3月-失業率、有効求人倍率ともに横ばい圏内の動きが続く | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
2025/04/30 | 2025年1-3月期の実質GDP~前期比▲0.2%(年率▲0.9%)を予測~ | 斎藤 太郎 | Weekly エコノミスト・レター |
2025/04/30 | 鉱工業生産25年3月-1-3月期は4四半期ぶりの減産、トランプ関税の影響で4月以降も低迷が続く見込み | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
2025/04/18 | 消費者物価(全国25年3月)-コアCPI上昇率は25年度入り後も3%台が続く公算 | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
新着記事
-
2025年05月02日
金利がある世界での資本コスト -
2025年05月02日
保険型投資商品等の利回りは、良好だったが(~2023 欧州)-4年通算ではインフレ率より低い。(EIOPAの報告書の紹介) -
2025年05月02日
曲線にはどんな種類があって、どう社会に役立っているのか(その11)-螺旋と渦巻の実例- -
2025年05月02日
ネットでの誹謗中傷-ネット上における許されない発言とは? -
2025年05月02日
雇用関連統計25年3月-失業率、有効求人倍率ともに横ばい圏内の動きが続く
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
【貿易統計13年11月~13年度末にかけて高水準の貿易赤字が続く見込み】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
貿易統計13年11月~13年度末にかけて高水準の貿易赤字が続く見込みのレポート Topへ