2013年11月18日

【マレーシアGDP】5%回復、財政健全化の姿勢も好感

経済研究部 主任研究員 高山 武士

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1.現状:5%台まで改善

マレーシア統計庁(DOSM)は11月15日に2013年7-9月期の国内総生産(GDP)を公表した。実質GDP成長率は前年同期比(原系列)で5.0%の増加となり、前期の前年同期比+4.4%より加速、5%台まで改善した。また、前期比(季節調整済)も1.7%増と前期(同+1.4%)から改善している。


マレーシアの実質GDP成長率(需要側、原系別)/マレーシアの実質GDP成長率(供給側)



2.今後は政策実行力が重要に

今回のGDP統計では、マレーシア経済は内需、なかでも民間部門が好調であることが明らかになった。7-9月期は外需も改善してきたことで、成長率が大きく押し上げられている。ただし、短期的には成長が鈍化する懸念もある。

輸出については新興国を含めて世界経済の回復ペースが緩慢であることを考えれば、今後も現在のペースで輸出や生産の改善が続くかは疑問が残る。また、内需に関しても、9月には燃料への補助金削減、10月には砂糖への補助金削減が実施され、先行きの消費が伸び悩む可能性がある。

一方で、財政健全化の観点から見れば、補助金削減は歓迎される政策である。10月には2015年の消費税(物品・サービス税:GST)導入も発表されており、これらは海外投資家からの魅力を高め、長期的に見れば成長を押し上げる要因となる。

したがって、短期的には成長が鈍化する懸念は残るものの、長期的に見れば好ましい政策が打ち出されていると評価できる。ただし、ナジブ首相の求心力や政策実行力が低下している可能性があり、今後はこれらの政策の進捗が注目と言えるだろう。

(2013年11月18日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴
  • 【職歴】
     2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
     2009年 日本経済研究センターへ派遣
     2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
     2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
     2014年 同、米国経済担当
     2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
     2020年 ニッセイ基礎研究所
     2023年より現職

     ・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
      アドバイザー(2024年4月~)

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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