- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- ジェロントロジー(高齢社会総合研究) >
- 高齢者のQOL(生活の質) >
- 福祉用具から介護ロボット、住宅機器まで多彩な機器群が新たに登場 - 第40回「国際福祉機器展(H.C.R.2013)」から -
福祉用具から介護ロボット、住宅機器まで多彩な機器群が新たに登場 - 第40回「国際福祉機器展(H.C.R.2013)」から -

青山 正治
このレポートの関連カテゴリ
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
■要旨
9月18日から20日まで、東京国際展示場(ビッグ・サイト)で「国際福祉機器展」が開催された。この展示会はアジアで開催される福祉機器の展示会では最大規模である。本レポートでは、今回、第40回目を迎えた「国際福祉機器展」の開催状況を振り返り、その後、今後、超高齢社会の進行に伴って日常の生活必需品となっていくと考えられるこれらの最新の福祉用具・機器類の中から、3機種を紹介したい。
「国際福祉機器展」の第1回開催は、1974年で、展示会名は「社会福祉施設の近代化機器展」であった。開催の背景には、1970年に高齢化率が7%を超えたことをきっかけに国が策定した「社会福祉施設緊急整備5か年計画」に基づき、その後急増した老人福祉施設において、介護に従事する施設職員の中で腰痛に悩む人が急増するという問題が生じたことがある。なお、現在も介護職の「腰痛」の問題は喫緊の解決課題であり、設備の近代化、業務の省力化による就労環境の改善と入所者への安全な介護の提供のために、様々な福祉機器等の普及が求められている。2013年9月の開催においては、来場者は12万人を突破し大変盛況であった。
来場者の属性では、「一般」が32%で最も多く、次いで「福祉施設」16%、「販売業」が14%、「在宅サービス」11%と続いている。出展社数・団体は第1回の約9倍となり、16カ国・1地域の585企業・団体が約2万点の様々な機器を展示した。一般人にとっては、多数の機器に触れたり、説明を聞け、直に機器に触れることが出来き、出展企業はエンド・ユーザーの意見を直接聞くことができる、大変貴重な展示会である。
今年の展示会では、既存の福祉用具・機器が、毎年、着実に進化を遂げ、さらに今までには無かった価値を提供する新たな機器群も登場を始めていることを強く実感した。
新たな機器群として紹介する3機種、「ベッドサイド水洗トイレ(TOTO株式会社)」、「フルリクライニング車いす付ベッド リショーネ(パナソニック株式会社)」、「電動歩行アシストカー・キーパス(株式会社幸和製作所と株式会社村田製作所の共同開発)」は、今までにない機能を備え、被介護者や利用者に利便性を提供するだけでなく、その介助・介護に当たる家族や介護者の心身への負担を大きく改善する価値を有しており、今後の動向が注目される。
利用者や介助・介護者が福祉用具・機器に期待することは「新たな価値の獲得」であり、それを実現するためには用具・機器が「安全性・信頼性」「高いユーザービリティ」などを供え、かつ「高い経済性」の要件を満たしていなければならない。企業は開発にあたって、エンド・ユーザーの意見に耳を傾け、機器開発に反映させることが必要不可欠となっている。今後の既存製品のさらなる進化と、従来は困難であった事を可能とする等の高い価値を提供する新たな機器群が続々と登場することを大いに期待したい。
(2013年11月07日「基礎研レポート」)
このレポートの関連カテゴリ
青山 正治
青山 正治のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2020/05/21 | 赤ちゃんの明るい笑い声の力-本物でもヒーリング・ロボでもパワーは同じ- | 青山 正治 | 研究員の眼 |
2020/05/18 | サービスロボットやICTの新たな利活用分野-防疫対策でのICTやロボット技術活用の可能性- | 青山 正治 | 研究員の眼 |
2019/09/11 | 介護ロボットの導入・活用への着実な取組-東京都の「次世代介護機器の活用支援事業」への取組 | 青山 正治 | 研究員の眼 |
2019/07/11 | 新しい放送メディアの開発と超高齢社会での活用-4K・8Kの普及やパブリックビューイングの展開を期待 | 青山 正治 | 研究員の眼 |
新着記事
-
2025年03月27日
経過措置終了に伴う企業の現状と今後の対応方針~東証市場再編後に残された課題~ -
2025年03月27日
「早食いは太る」は本当か~食べる速さは、肥満リスクをどの程度予測できるか -
2025年03月27日
ファイナンシャル・ウェルビーイングについて(2)-金融行動との関係性…保険商品に着目して -
2025年03月26日
語られる空き家、照らされる人生-物語がもたらす価値の連鎖- -
2025年03月26日
決済デジタル化は経済成長につながったのか-デジタル決済がもたらす新たな競争環境と需要創出への道筋
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【福祉用具から介護ロボット、住宅機器まで多彩な機器群が新たに登場 - 第40回「国際福祉機器展(H.C.R.2013)」から -】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
福祉用具から介護ロボット、住宅機器まで多彩な機器群が新たに登場 - 第40回「国際福祉機器展(H.C.R.2013)」から -のレポート Topへ