- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 日本経済 >
- 毎月勤労統計13年8月 ~2ヶ月連続の前年比減と、依然厳しい所得環境
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
■見出し
・現金給与総額は前年比で2ヶ月連続減少
・常用雇用者数は緩やかな増加基調が続く
■introduction
10月1日に厚生労働省から発表された2013年8月の毎月勤労統計によると、8月の現金給与総額は前年比▲0.6%(7月:前年比▲0.1%)となり、2ヶ月連続で減少した。
その内訳を見てみると、所定外給与は前年比3.1%と増加したものの、ウェイトの大きい所定内給与は前年比▲0.4%と15ヶ月連続で減少したため、きまって支給する給与(所定内給与+所定外給与)は前年比▲0.1%と15ヶ月連続で減少した。8月の特別給与は前年比▲9.4%と8ヶ月ぶりに減少しているが、6~8月の特別給与を合計すると前年比1.3%となった。すでに発表されている各種アンケート調査同様に、今年の夏季賞与は昨年よりも増加したとみられる。なお、毎月勤労統計の夏季賞与に関する最終結果は、6~8月の「特別給与」のうち賞与として支給されたものを特別集計したものが、10/31に公表される予定である。
所得環境は、景気回復に伴い所定外給与が増加しているものの、現金給与総額が前年比で2ヶ月連続減少し、所定内給与が前年比で15ヶ月連続減少するなど、未だ低迷が続いており、本格的な賃金の回復には時間がかかるだろう。
8月の常用雇用者数は前年比0.8%(7月:前年比0.9%)となり、緩やかな増加基調が続いている。その内訳を見てみると、一般労働者は前年比0.2%と減少基調から脱しつつある中、パートタイム労働者は前年比2.2%と増加基調が続くなど、雇用環境に回復の兆しがみられる。
ここ最近まで明確に見られた給与水準の高い一般労働者(正規雇用)を減らし、その分を給与水準の低いパートタイム労働者(非正規雇用)で賄おうとする動きが緩和しているようにみえる。ただし、毎月勤労統計は速報から確報になる際に、一般労働者は下方修正(7月:前年比0.3%→前年比0.0%)、パートタイム労働者は上方修正(7月:前年比2.3%→前年比3.2%)される傾向があるため、基調が変わったと判断するのは早計だろう。
今後は安倍政権による緊急経済対策の効果や住宅投資への消費増税前の駆け込み需要から、建設業の雇用の更なる増加が見込まれるほか、鉱工業生産が持ち直しに向かうことで、製造業の雇用も少しずつ持ち直しに向かうとみられる。
(2013年10月01日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ
押久保 直也 (おしくぼ なおや)
研究・専門分野
日本経済、財政
押久保 直也のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2014/09/17 | ニッセイ景況アンケート調査結果-2014年度上期調査 | 押久保 直也 | ニッセイ景況アンケート |
2014/05/13 | 「男性不況」下の専業主婦願望~理想と現実のギャップ | 押久保 直也 | 研究員の眼 |
2014/03/12 | 企業物価指数(2014年2月)~8ヶ月ぶりに前年比1%台の上昇率へ縮小 | 押久保 直也 | 経済・金融フラッシュ |
2014/03/11 | 景気ウォッチャー調査14年2月~消費税増税懸念から先行き判断DIは大幅な低下 | 押久保 直也 | 経済・金融フラッシュ |
新着記事
-
2025年05月01日
日本を米国車が走りまわる日-掃除機は「でかくてがさつ」から脱却- -
2025年05月01日
米個人所得・消費支出(25年3月)-個人消費(前月比)が上振れする一方、PCE価格指数(前月比)は総合、コアともに横這い -
2025年05月01日
米GDP(25年1-3月期)-前期比年率▲0.3%と22年1-3月期以来のマイナス、市場予想も下回る -
2025年05月01日
ユーロ圏GDP(2025年1-3月期)-前期比0.4%に加速 -
2025年04月30日
2025年1-3月期の実質GDP~前期比▲0.2%(年率▲0.9%)を予測~
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
【毎月勤労統計13年8月 ~2ヶ月連続の前年比減と、依然厳しい所得環境】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
毎月勤労統計13年8月 ~2ヶ月連続の前年比減と、依然厳しい所得環境のレポート Topへ