- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 家計の貯蓄・消費・資産 >
- 世帯の金融資産保有の状況と貯蓄・投資先の動向
■要旨
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」によれば、金融資産を保有している世帯の割合は9割前後を示していた20年前に比べ15ポイントほど減少し、2012年では2人以上世帯で74.0%、単身世帯では66.2%となった。金融資産を持てない世帯が徐々に増えている中で、金融資産保有世帯では堅実に資産の積み増しを計っているなど二極化する傾向にあることがわかる。
このような状況の中、金融資産保有世帯の資産の振り向け先について、総務省統計局が公表した「家計調査年報 貯蓄・負債編(平成24年)」から世帯主年齢階級別に世帯貯蓄の金融商品種類別の構成比をみると、貯蓄額は年齢層が高くなるにつれて増加し、金融商品の種類としては「定期性預貯金」および「有価証券」の構成比が増加し、「通貨性預貯金」の割合が減少していることがわかる。また、「生命保険など」の保障性商品は40~50歳代で3割前後と高く、世帯主の年齢により資産の振り向け先が異なる様がみてとれる。
これを、2008年(5年前)、2003年(10年前)と比較してみると、30~40歳代では一貫して「生命保険など」が減少し、「通貨性預貯金」、「定期性預貯金」の構成比が増加している。また、30歳代以外では2008年に比べ「有価証券」の構成比が下がっており、リーマンショック後の安全性重視の姿勢が依然として継続している様がみてとれる。
このような家計金融資産の貯蓄・投資先の構成比の変化は、金融商品選択にかかる消費者の意思決定の結果を表しているが、アベノミクスにより所得が増加すれば、貯蓄の積み増しへの期待も高まるといえよう。魅力ある商品・サービスの提供を通じた、各金融機関の健全な競争に期待したい。
(2013年09月12日「基礎研レター」)
このレポートの関連カテゴリ
井上 智紀
研究・専門分野
井上 智紀のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2024/03/07 | 4つの志向で読み解く消費行動-若者は「所有より利用」志向、女性やシニアは「慎重消費」志向 | 井上 智紀 | 基礎研マンスリー |
2024/01/19 | 4つの志向で読み解く消費行動(1)-若者は「所有より利用」志向、女性やシニアは「慎重消費」志向 | 井上 智紀 | 基礎研レポート |
2023/04/27 | 投資経験の拡がりと今後の意向-経験者は増えるものの課題はリテラシーの向上 | 井上 智紀 | 基礎研レポート |
2023/04/27 | 「第12回 新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」 調査結果概要 | 井上 智紀 | その他レポート |
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年10月04日
気候変動への耐久力を強化するために、保険を活用すること-欧州委員会における検討会の最終報告書の紹介 -
2024年10月04日
再保険に関する監督・規制を巡る最近の動向-資産集約型再保険の拡大とPE会社の保険セクターへの関与- -
2024年10月03日
暑さ指数(WBGT)と熱中症による搬送者数の関係 -
2024年10月03日
公的年金の制度見直しは一日にしてならず -
2024年10月03日
市場参加者の国債保有余力に関する論点
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
【世帯の金融資産保有の状況と貯蓄・投資先の動向】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
世帯の金融資産保有の状況と貯蓄・投資先の動向のレポート Topへ