2013年07月05日

金融市場の動き(7月号)~ドル高の死角

経済研究部 上席エコノミスト 上野 剛志

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  1. (為替) QE3縮小は、セオリーでは円安ドル高要因となるはずだが、縮小観測の高まりによって実際に起きたことは円高ドル安であった。その理由は先行きの不透明感が強まることで、市場の警戒感が噴出、不安定化したためだ。結果、為替市場ではリスクオフ通貨の筆頭である円の需要が高まるとともに大幅なポジション調整が起こった。6月FOMCを経て不透明感が後退し、急速にドル高へと回帰したが、今後も出口戦略を巡りたびたび市場の警戒感は高まるだろう。ドル円相場の展開としては、日米金利差拡大を背景とした円安ドル高トレンドを基本としつつも、たびたび円高に振れる局面が発生する可能性が高い。こうした不安定さを抱えながら、ドル円は水準を切り上げていくと考えられる。ただし、ドル高シナリオ自体が崩れることも考えられる。“自滅型”“外圧型”“ブーメラン型”など複数のシナリオが考えられ、世界経済の耐久力が問われることに。
  2. (日米欧金融政策) 6月は日米欧中銀ともに金融政策を現状維持としたが、バーナンキFRB議長がFOMC後の会見において条件付きながら年内のQE3縮小を示唆。米国と日本・欧州との間で金融政策の方向感の違いがますます際立っている。
  3. (金融市場の動き) 6月の金融市場は、円高ドル安、ユーロドルと長期金利は若干上昇した。QE3縮小観測を発端とした金融市場の動揺も一旦収まりつつあり、基本線として当面のドル円は円安ドル高を予想。ユーロドルは弱含み、長期金利は横ばい圏内と見る。



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(2013年07月05日「Weekly エコノミスト・レター」)

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経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志 (うえの つよし)

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

経歴
  • ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
    ・ 2007年 日本経済研究センター派遣
    ・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
    ・ 2009年 ニッセイ基礎研究所

    ・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)

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