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- LCC・ビジネスモデルが問う意識改革 -「先入観は捨てて下さい!」
昨年は、格安航空会社(LCC:Low Cost Carrier)の参入が相次いで、『LCC元年』といわれた。現在、日本国内ではピーチ・アビエーション、ジェットスター・ジャパン、エアアジア・ジャパンの3社体制*で運行されている。LCCは徹底したコスト管理により、大手航空会社の半額以下の航空運賃をセールスポイントにして、新たな航空需要を生み出しているのだ。
LCCのコスト削減は、サービスの限定や有料化、運行機材の統一、駐機時間の短縮による効率的運行、乗務員等の多機能化、空港施設の簡素化など、様々な工夫により実現している。しかし、国内空港では離発着時間の制限、過密な運行予定、高額な空港使用料などの制約もあり、予備機を持たないLCC各社は、ひとたび遅延が発生するとドミノ倒し的に遅延や欠航が相次ぐリスクを抱えている。
先日、LCCを題材とした『チープ・フライト』**というドラマが放映された。この番組は、大手航空会社がLCCを設立する物語だ。竹内結子 扮する既存の大手航空会社の客室乗務員(CA)がLCCの新人CAを育成するなかで、従来のサービス要員としてのCA業務との落差に戸惑い、葛藤しながらも、徐々にLCC・ビジネスモデルを理解していくのである。
これはドラマなので脚色されている部分もあろうが、LCC・ビジネスモデルを理解する上ではとても分かり易かった。最も印象的だったのは、元CAが向井理 演ずる統括管理部長から『既存の経験や先入観は捨てて下さい!』と言われる場面だ。LCCは従来のレガシーキャリアの単なる低コスト版ではなく、CAは保安要員であるなど、全く新たなビジネスモデルを目指しているからである。
LCCを利用する乗客もその特質を理解していないと思わぬトラブルに遭遇する。LCCでは出発時刻の遅れを極力無くすために、搭乗時刻を過ぎた乗客は原則乗せない。また、遅延や欠航した場合の他社便への振り替えや宿泊先の措置もない。LCCの利用に関する広報活動は、利用者にまだ十分浸透しているとは言いがたく、そのために乗客のクレームやトラブルの一因にもなっているが、安い航空運賃は、それに見合うリスクを抱えていることを利用者自らも認識することが必要なのだ。
このようにLCC・ビジネスモデルは、航空会社の意識と同時に利用者の意識改革も必要としている。航空業界は「オープン・スカイ」としていち早く自由化が起こったが、TPP交渉参加が表明された今、様々な産業分野で新たな革新的ビジネスモデルの構築が必要だ。今後、日本に求められるのは、既存社会の先入観から解放された発想“Liberal Creative Conception”というLCCではないだろうか。。
土堤内 昭雄
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