コラム
2013年01月28日

投資の法則は変化したか?(2)-曜日効果アノマリー(月曜効果等)を再検証する

伊藤 拓之

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前回の「投資の法則は変化したか(1)月次効果アノマリー(1月効果等)を再検証する」に引き続き、今回は曜日にまつわるアノマリーについて検証してみた。株式市場では曜日に関して、「月曜日の株安」や「週末の株高」などよく聞かれる。アノマリー(Anomaly)は前回紹介したが、合理的には説明できないがよく当たる経験則のことである。

前回紹介した月次効果アノマリーと同様に、株式市場(日本:TOPIX、米国:S&P500)、為替市場(ドル円)、債券市場(10年金利)の過去30年分(1983年~2012年)の日次収益率(債券は10年金利変化幅)を用いて、曜日に関する季節性アノマリーを検証した。

株式市場についてみると、日本では月曜日の収益率が低い「月曜日の株安」現象は観測されるが、過去10年では収益率は負ではあるものの軽微なものとなっている。他方、木曜日以降の収益率を見ると確かに高く「週末の株高」は観測されるが、直近10年について金曜日の収益率が負となっている。このように曜日に関するアノマリーは直近の10年についてはその効果が薄れてきていると言えよう。

 米国株式市場でも、「Weekend Effect」や「Day of the Week Effect」と呼ばれ、週末の収益率は他の曜日に比べて高く、月曜日は低いと報告されている。確かに月曜日の収益率は他の曜日に比べて低いものの、週末金曜日の収益率は必ずしも高いと言えず、火曜日や水曜日で高い収益率が観測された。

TOPIXの曜日別収益率/S&P500の曜日別収益率

為替市場では月曜日の円安、火曜日から木曜日にかけての円高が観測されたが、直近10年については月曜日の円高、木曜日の円安が観測されている。債券市場では月曜日に金利上昇が観測され、水曜日以降週末にかけて金利低下が観測された。

為替(ドル円)の曜日別収益率/債権10年金利の曜日別金利変化幅

曜日効果に関するアノマリーについては、通常言われていたアノマリーとは逆の現象も直近では観測されている。アノマリーは合理的には説明できないがよく当たる経験則にすぎず、多くの投資家が利用し始めると高い収益率を得られる機会が消失してしまい、アノマリーではなくなってしまう。アノマリーを利用した投資戦略も考えられるが、利用するには常に観測され続けている現象であるか定期的に検証することが必要となろう。


 
(注1) 株式市場は各指数の前営業日終値と当営業日終値から収益率を計算している。

(注2) 為替相場(ドル円)は東京市場17時を基準に前営業日終値と当営業日終値から収益率を計算している。

(注3) 債券市場は10年金利の前営業日の利回りと当営業日の利回りの差分から金利変動幅を計算している。

(注4) 日本市場は1989年1月まで土曜日も前場のみ取引が行われていたが、本分析では観測期間の違いから掲載しなかった。


(2013年01月28日「研究員の眼」)

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