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通貨ポートフォリオの投資スタイルを考える ~キャリー・バリュー・トレンド・ボラティリティ戦略を再考する~

伊藤 拓之
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■要旨
通貨ポートフォリオ運用とは、複数の通貨ペアの組み合わせを構築して収益を狙う運用のことをいう。主に為替フォワードや上場通貨先物を利用する商品投資顧問業者(CTA, Commodity Trading Advisor)と呼ばれるヘッジファンドが通貨ポートフォリオを構築して為替ファンドを運用している。株式や債券等の伝統的資産との分散効果が期待できるオルタナティブ投資として機関投資家も注目している。またFX(外国為替証拠金) 取引に関心を持つ個人投資家も複数の通貨ペアに投資して分散効果や収益拡大を狙っている。本レポートでは為替ファンドで用いられる投資戦略の有効性を考察した。
為替ファンドのスタイル分析に用いられる(1)キャリー(Carry)・(2)バリュー(Value)・(3)トレンド(Trend)・(4)ボラティリティ(Volatility)の各戦略について、通貨ポートフォリオにおける収益率の実証分析を行った。(1)キャリー戦略では、金利平価説に反して高金利通貨の収益率が低金利通貨を大幅に上回ることを確認した。(2)バリュー戦略では、直物為替レートと購買力平価との乖離率が割安となっている通貨の収益率が割高の通貨を上回った。(3)モメンタム戦略では、対ドルで過去リターンが良い通貨ほど将来のリターンは低いリターン・リバーサルが確認された。(4)ボラティリティ戦略では高ボラティリティ通貨の収益率が低ボラティリティ通貨の収益率を上回った。
これらの戦略は各国の景気状況等が影響を及ぼし時期によって有効性に差があり、またPojarliev and Levichが示すようにある戦略が人気化して集中的に為替ファンドが投資する時期も存在する。国際金融市場の今後のゆくえを探る上でも重要な指標となりうるだろう。さらに為替ファンドを構築するに当たり基本戦略かつ基本スタイルであるので、これらの通貨投資戦略の動向を注目することは不可欠といえよう。
(2013年08月28日「基礎研レポート」)
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