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- フィリピン7-9月期GDP:前年同期比+7.1%~予想を大きく上回る成長率を記録
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■見出し
・現状:予想以上の高成長を達成
・今後:高成長は維持できても、7%超えは厳しい
■introduction
フィリピンの国家統計調整委員会(NSCB)は11月28日、2012年7-9月期の国内総生産(GDP)を公表した。実質GDP成長率は前年同期比(原系列)で7.1%の増加となり、4-6月期(同+6.0%)と比較して成長が加速したことが明らかになった。また、前期比(季節調整済)で見ても+1.3%と4-6月期(同+1.2%)と比べて加速した。
実質GDPを需要項目別に見ると(図表1)、内需については、4-6月に引き続き在庫変動を除くほとんどの項目で堅調な伸びを維持している。個人消費は前年同期比+6.2%と4-6月期(同+5.9%)より加速、投資は前年同期比+8.7%と4-6月期(同+11.8%)よりも減速したものの堅調さを維持した。投資のうち設備投資は前年同期比▲2.4%と減速したが、建設投資が官民ともに急増、前年同期比+24.8%の高成長を記録したために、投資全体では高い伸びを維持できた。
純輸出に関しては、輸出が前年同期比+6.9%と4-6月期(同+8.3%)よりやや鈍化したが、輸入も前年同期比+8.3%と4-6月期(同10.3%)より鈍化したため、純輸出の成長への寄与は▲0.7%ポイントとなり、4-6月期の同▲0.8%ポイントとほぼ変わらなかった。
供給項目別に見ると、第二次産業の加速が目立つ(図表2)。第二次産業は前年同期比+8.1%となり4-6月期の同+5.5%から大幅に加速した。中でも、建設業が前年同期比+24.3%と4-6月期の同+14.0%から大幅に伸びたことが成長に貢献している。シェアの大きい製造業も前年同期比+5.7%と4-6月期の同+4.6%から加速した。このほか、第一次産業が前年同期比+4.1%と4-6月期の同+0.6%から加速。第三次産業も前年同期比+7.0%と4-6月期の同+7.4%よりは若干減速したものの、高成長を維持している。
また、4-6月期の海外からの純所得 は、前年同期比+4.9%と4-6月期(同+4.5%)から加速、これも高成長を支える要因となった。
結果として、7-9月期のGDP成長率は、予想を大きく上回る7%超の数値を記録した(通年の政府目標は5~6%)。個人消費など内需が底堅い上に、海外経済に閉塞感が漂う中でも、輸出の急減速を避けられたことが高成長に繋がったと言える。
(2012年11月29日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1818
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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