2012年09月19日

日銀決定会合(9/18-19日):4月以来の追加緩和、基金増額10兆円

総合政策研究部 常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任 矢嶋 康次

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■見出し

・追加緩和を実施 : 景気先行き不安+ECB、FRBに追随
・足元景況感を下方修正 : 持ち直しの動きが一服している

■introduction

日銀は18-19日の決定会合で資産買入等基金の総額を従来の70兆円から80兆円に増額する追加金融緩和を全員一致で決めた。追加緩和は4月に基金を5兆円増やし総額を70兆円にして以来5カ月ぶりとなる。
増額分の買い入れ対象は国債となり、長国29兆円から34兆円に5兆円増加。国庫短期証券は9.5兆円から14.5兆円に5兆円増加させた。
また(1)基金買入完了の目途は、長期国債が2013年12月末まで延長、(2)長期国債の入札下限金利(現在年0.1%)を撤廃(社債についても同様)、も決定した。

ここ数カ月国内の景気は明らかに下り気味。8月決定会合時には海外経済、輸出、生産の個別判断の引き下げを行っており、今回決定会合か遅くとも10月時点には足元の景況感全体の引き下げを行わなければならない状況にあった。
また9月6日にECBが南欧諸国の国債を無制限に買い取ることを決定、9月13日にはFRBがQE3突入を決定、政治、産業界からも「積極的な海外中央銀行に比べて日銀は消極的だ」と批判も強まり、さらに「日銀は外債購入すべきだ」との声も強くなってきていた。
10月の展望リポートでの追加緩和を模索していた日銀にとって、前倒し実施に追い込まれた格好になったと思われる。

今回通常の緩和の5兆円ではなく10兆円となったのは、景気の先行きに対する危機意識の高さという面と、消極的との批判をかわす両面が影響したと思われる。

(2012年09月19日「経済・金融フラッシュ」)

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総合政策研究部   常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任

矢嶋 康次 (やじま やすひで)

研究・専門分野
金融財政政策、日本経済 

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