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■見出し
1――はじめに
2――企業の財務状況と格付の関係
3――格下げと市場の反応
4――おわりに
■introduction
厳しい企業の経営環境を背景に格付会社が格下げを行う機会が近年増加している。本レポートでは格下げの対象となった企業(格下げ企業)に焦点を当て、その背景を探るべく格下げ企業の財務状況ならびに格下げに伴う株式市場、社債市場、CDS市場での反応を調査することを主眼とする。
1|厳しい企業の経営環境
昨今企業の経営環境が悪化してきている。2012年6月には東証1部株価指数(TOPIX)は29年ぶりの安値をつけている。その背景として、(1)欧州の金融危機問題に加え米国や中国等世界景気の減速、(2)リーマンショック以降の円高の進行ならびに史上最高値近辺での推移、(3)東日本大震災やタイの大規模洪水といった天変地異によるイベントリスクの顕在化が考えられる。この結果として、本文中の図表1に見るように東証1部上場銘柄の総売上高は2012年3月末実績で2008年3月対比88%、純利益では54%と、いまだリーマンショック前の水準は回復できず、日本の株式市場は2009年以降低迷を続けている。
2|格付会社の格付動向
格付会社が格下げを行う機会が近年増加している。本文中の図表2には日本の一般事業会社(銀行・証券・保険・その他金融除く)の格付を行っているS&P、Moody’s、R&I、JCR4社の格付 (発行体格付を中心に、未付与の場合は無担保社債格付を利用) の動向を示した。下段の表にあるように各社ともに2008年度以降は格下げ企業数が格上げ企業数を上回ることが多く、近年企業の格下げが増加しているのが見てとれる。また各社ともにAA格 (AA+/AA/AA-またはAa1/Aa2/Aa3を含む) 以上の高格付企業数が減少傾向にあり、一方でA格(A+/A/A-またはA1/A2/A3を含む) 企業が増加している。この背景を探るべく、次章以降では格下げ企業の財務状況および市場での反応を調査していく。
(2012年08月24日「基礎研レポート」)
伊藤 拓之
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