2012年06月01日

フィリピン2012年1-3月期GDP:前年同期比+6.4%~世界経済の成長が鈍るなか、高成長を記録

経済研究部 主任研究員 高山 武士

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■見出し

・現状:6%超の高成長を達成
・将来:個人消費を中心に好調さが続く

■introduction

フィリピンの国家統計調整委員会(NSCB)は5月31日、2012年1-3月期の国内総生産(GDP)を公表した。実質GDP成長率は前年同期比(原系列)で6.4%の増加、前期比(季節調整済)では2.5%の増加となり、10-12月期(前年同期比+4.0%、前期比+1.7%)から成長が加速したことが明らかになった。
実質GDPを需要項目別に見ると(図表1)、1-3月期は純輸出の寄与度が+5.2%ポイントを記録し、成長に大きく貢献したことが分かる。この要因としては1-3月期の輸出の伸びが前年同期比+7.9%となり7-9月期(同▲11.9%)、10-12月期(同▲8.2%)の2期連続のマイナス成長からプラスに転じたことが挙げられる。1-3月期の輸入については前年同期比▲2.6%とマイナス成長のままだが10-12月期(同▲6.2)から減少ペースが穏やかになった。1-3月期の内需については、10-12月期に引き続き堅調さを維持している。1-3月期の個人消費は前年同期比+6.6%と10-12月期(同+6.4%)と同水準の伸び率だったほか、投資は前年同期比+2.8%と10-12月期(同▲2.4%)からプラスに転じた。加えて昨年後半には景気刺激策が実施されており、1-3月期は政府支出が前年同期比+24.0%と大幅に増加し、成長率を押し上げている。
供給項目別に見ると(図表2)、第一次産業、第二次産業、第三次産業のすべてで成長が加速した。なかでも運輸・通信、小売業、金融業などの第三次産業が高成長を記録した。第三次産業全体では前年同期比+8.5%の伸びとなり、10-12月期(同+5.9%)を大きく上回った。1-3月期の第二次産業の成長率は+4.9%となり、成長を牽引するほどではなかったが、10-12月期(同+3.4%)より伸びは加速している。
また、1-3月期の海外からの純所得は、前年同期比+4.0%と10-12月期(同+6.2%)からは減速したものの、プラス成長を維持する結果となり、個人消費の伸びを支援する材料となっている。

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経済研究部   主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

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