- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- ジェロントロジー(高齢社会総合研究) >
- 高齢者世帯の家計・資産 >
- 少子高齢社会における生活水準の防衛策-ETFを活用した実質消費可能額の維持を考える
■見出し
1――はじめに
2――投資先候補となる主な金融商品の種類と概要
3――新しい投資手段としてのETFの概要
4――負担増による不足額を賄うための具体的な投資内容の試算
5――まとめ
■introduction
現在会期中の第180通常国会では、社会保障と税の一体改革が大きなテーマとして取り上げられている。背景に日本社会の少子化・高齢化の進展があることは周知であろう。社会保障制度や税制を改革することは極めて重要だが、消費税率の引き上げ、公的年金額の特例水準解消(マクロ経済スライドの適用による減額)など、国民の負担増加は避けて通れない情勢と言えよう。
例えば昨年12月に民主党税制調査会が決定した消費増税案では、現在5%の消費税率が2015年10月に10%に引き上げられる内容だ(先行して2014年4月に8%に引き上げ)。総務省「平成22年家計調査」によれば、世帯主年齢65歳以上の1か月間の消費支出(消費税を含む、全世帯)は21.3万円なので、この世帯が購入する物品やサービスの税抜価格(以下、「実質消費可能額」と呼ぶ)は20.3万円となる。消費税率10%で同等の物品やサービスを購入するには、消費支出を毎月1.0万円(1年間では12.2万円)増やすことが必要な計算だ。逆に消費できる金額が今と変わらなければ、毎月の実質消費可能額は0.9万円(1年間では11.1万円)減る。これは実質的な生活水準が下がることを意味する。
対応策として現役世代なら賃金の引き上げを期待することも不可能ではないが、収入が年金のみという世帯ではその余地はない。退職金など一定の資産があれば当面の生活資金に困ることはなかろうが、資産の取り崩し額が多くなるため増税前と比べて蓄えが早期に底を突くことは間違いない。
そこで本稿では、増税後も現在の生活水準を維持するために、資産運用によって不足分を賄うことを考える。以下、第2章で日本の国債や株式に加えて、近年人気を集めた新興国の株式や債券、コモディティ(商品)などの投資対象について概要を整理する。第3章では新興国やコモディティ投資の拡大とともに近年急速に残高を増やしているETFの活用について述べる。最後に負担増を賄うための具体的な投資内容を一定の仮定を置いた上で試算する。なお、公的年金については消費増税による物価上昇を反映して年金額が増える仕組みがあるため、影響が緩和される可能性もある。
このレポートの関連カテゴリ
03-3512-1852
- 【職歴】
1993年 日本生命保険相互会社入社
1999年 (株)ニッセイ基礎研究所へ
2023年より現職
【加入団体等】
・日本ファイナンス学会理事
・日本証券アナリスト協会認定アナリスト
(2012年03月05日「ジェロントロジーレポート」)
関連レポート
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年04月26日
米GDP(24年1-3月期)-前期比年率+1.6%と前期から低下、市場予想の+2.5%も大幅に下回る -
2024年04月26日
滞留するふるさと納税 -
2024年04月26日
EUのDMA関連調査開始決定-GAFAそれぞれの問題を指摘 -
2024年04月25日
欧州大手保険グループの地域別の事業展開状況-2023年決算数値等に基づく現状分析- -
2024年04月24日
中国経済の現状と注目点-24年1~3月期は好調な出だしとなるも、勢いが持続するかは疑問
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
-
2023年07月03日
News Release
【少子高齢社会における生活水準の防衛策-ETFを活用した実質消費可能額の維持を考える】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
少子高齢社会における生活水準の防衛策-ETFを活用した実質消費可能額の維持を考えるのレポート Topへ