2012年02月01日

台湾2011年10-12月期GDP:前年同期比+1.90%~外需・内需ともに低迷、成長は大幅鈍化

経済研究部 主任研究員 高山 武士

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■見出し

・現状:経済成長は大幅に鈍化
・先行き:内需・外需とも活性化の兆しはなく、伸び悩みが続く
・経済政策は、2期目の馬英九政権にとって大きな課題

■introduction

台湾の行政院主計処(DGBAS)は1月31日、10-12月期の実質域内総生産(GDP)の速報値を公表した。成長率は前年同期比(原系列)で1.90%の増加となり、11月時点で同機関が予測していた前年同期比3.69%を大幅に下回った。前期比年率(季節調整済)では▲0.98%となり7-9月期の同▲0.83%に続き2期連続でのマイナス成長となった。また、2011年通年の成長率は前年比4.03%の増加となり、2010年の同10.72%から大幅に鈍化した。
実質GDP成長率を需要項目別に見ると(図表1)、前期に続き内需と外需が共に減速しているが、今期は、前期と比較して成長の減速がより一層深刻になっている。中でも資本形成(投資+在庫変動)は前年同期比▲19.24%となり(前期は同▲11.85%)、大幅なマイナス成長を記録した。個人消費についても前期の前年同期比+3.14%から今期は同+1.66%と減速が鮮明になっている。外需に関しては、輸出が前年同期比で+0.43%とかろうじてプラスを維持したにとどまっており、やはり前期(同+2.09%)から減速している。なお、輸入が前年同期比▲7.59%と大きく落ち込んだため、純輸出では成長率へ寄与度で4.71%ポイントと大きくなったが、輸入の減少は経済活動の低迷によるものであり、台湾の景気後退を表していると判断できる。
供給側から見ても台湾の低迷ぶりが良く表れている(図表2)。今まで成長を牽引してきた製造業が前年同期比▲1.78%とマイナス成長に転じている。その他、サービス業のうち金融業や不動産業もマイナス成長に転じ成長の抑制要因になっている。サービス業のうち、卸・小売業は前年同期比+1.68%とプラス成長を保っているが、7-9月期の前年同期比+4.32%と比較するとその伸び率は半減しており、景気後退の影響は幅広い産業に拡散していると言える。

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経済研究部   主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴
  • 【職歴】
     2002年 東京工業大学入学(理学部)
     2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
     2009年 日本経済研究センターへ派遣
     2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
     2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
     2014年 同、米国経済担当
     2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
     2020年 ニッセイ基礎研究所
     2023年より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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