2011年12月01日

日米欧6中銀がドル資金供給拡大策を発表:流動性問題から金融危機に陥る事態を回避

総合政策研究部 常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任 矢嶋 康次

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■見出し

・リーマンショック時導入のドル資金調達の枠組みを拡充、調達金利を0.5%引き下げ

■introduction

日本、米国、欧州、英国、カナダ、スイスの6カ国・地域の中央銀行は、世界規模で発生している流動性逼迫の緩和に向け、協調的な措置を講じる方針を表明した。経営悪化となっている金融機関が資金不足でデフォルトとなりそれを引き金に世界的な金融危機となることを回避する。
今回合意がなされた拡充策は、2008年のリーマン・ショック時に導入したドル資金供給の枠組みを大幅に拡充し、緊急資金供給のコストを下げ、規模を拡大するというもの。米国が各国中銀にドル資金を供給するときの金利を0.5%引き下げ(1%⇒0.5%に)、中銀が各金融機関への供給金利も0.5%引き下げる。欧州危機の広がりから金融市場ではドル調達が難しくなっていた。特に欧州系の金融機関に対する不安が拡大しており、ドル調達にプレミアムがかされていた。今回の拡充策で短期金利の低下を促すことを狙う。
29日のユーロ圏財務相会合では、EFSFの規模拡大について、目標とした1兆ユーロに届かないなど、政策対応の遅れが市場の不安をあおっていた。危機封じ込めに財政・制度面での抜本的な対策が打てない・遅れている状況に、各国中銀はまたもや積極的な行動を迫られた。
残念ながら流動性対応は応急措置に過ぎない。現在のユーロの状況を見れば、政治的な枠組みのスピード感はそれほど上がらないだろう。また、欧州金融機関のクレジットクランチが欧州経済、新興国経済に起こってくるのはこれからと思われる。各国中銀はさらなる包括緩和策を検討・実施する可能性が高い。

(2011年12月01日「経済・金融フラッシュ」)

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総合政策研究部   常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任

矢嶋 康次 (やじま やすひで)

研究・専門分野
金融財政政策、日本経済 

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