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野田新民主党代表(8/29日):政策の継続性などの安心感。財政再建路線、増税による景気悪化は懸念材料
総合政策研究部 常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任 矢嶋 康次
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■introduction
野田新代表決定 : 政策の継続、国会運営麻痺は避けられる?
野田財務大臣が新民主党代表に決定した。野田氏はある程度菅政権の政策を継続、2009年衆院選のマニフェストの見直しが含まれている3党合意は遵守、復興に対する増税が必要などが主張だった。野田氏は現政権の政策をある程度継続してくるだろうことや、3党合意を遵守するとの主張で、市場にとっては、ある程度「安定感」「安心感」があり、さらに国会運営が今以上に止まるという危機感は多少和らいだのではないだろうか?
ただ、今回の代表選を見ていると、民主党内で小沢派・反小沢派の対立軸だけが、再び強まったように思える。マニフェストの見直しなどを前提にしている野田氏が代表になったことは、マニフェスト重視を主張した小沢派からすれば、意見は対立しやすく党内の意見がまとまらない。本日以降、挙党一致が果たせるような人事ができるのか、これがうまくいかないと市場の最大の注目であった政策実現のスピード感への評価は急落しかねない。
野田新政権の政策運営をスムーズに行なうためにも支持率のアップが必要だろう。市場では野田政権は短命だとの見方がすでにでているが、それも支持率が大きく影響するはず。
野田氏が主張する財政再建のための増税は、議論としては筋が通っているが、必ず景気悪化懸念が付きまとう。
増税に向けた議論は主張がぶれず、さらに議論をできるだけオープンにする必要があるだろう。
またどうしても増税は不人気政策であり、何か短期的な成果がはっきりわかるような(景気にプラスとなる)政策実現を達成しなくてはならない。ねじれ国会など政策実現がかなり難しい状況ではあるが、短期の目玉政策が重要になってくるだろう。
いずれにせよ当面は、政府・与党の人事と、野党の連携がどのようになるかだ。それらがうまくいかないと「政策実現のスピード感」がないと株価の上値を強く抑える要因になり続ける。いままでのように欧米の経済動向、債務問題、新興国のバブル・インフレ懸念に左右される相場展開に、さらに大きな重石を背負うことになる。
(2011年08月29日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1837
- ・ 1992年 :日本生命保険相互会社
・ 1995年 :ニッセイ基礎研究所へ
・ 2021年から現職
・ 早稲田大学・政治経済学部(2004年度~2006年度・2008年度)、上智大学・経済学部(2006年度~2014年度)非常勤講師を兼務
・ 2015年 参議院予算委員会調査室 客員調査員
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