2009年12月18日

12月日銀決定会合:物価ゼロ%以下のマイナスの値は許容していない、「物価安定の理解」の明確化

総合政策研究部 常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任 矢嶋 康次

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■introduction

・円高、デフレで不透明感は強まるが、景気の現状「持ち直している」を維持、日銀は物価マイナスを許容していない、広義の時間軸を導入
日銀は17・18日開いた金融政策決定会合で、政策金利の誘導目標を0.1%前後に据え置くことを全員一致で決定した。円高やデフレが進行する景気の現状については、「持ち直している」との判断を維持した。
今回サプライズは、「中長期的な物価安定の理解」を示し、その中で「委員会としてゼロ%以下のマイナスの値は許容していない」ことを表明したことだ。広義の時間軸導入と考えていいだろう。
事前予想では、今回の会合は据え置き、今後は事態が悪化すれば日銀は追加策を打ち出すとの見方が強かった。つまり12/1日に臨時で策を打ち出したが、今後も「受身」になるとの見方だった。
今回物価マイナスを許容しないというメッセージを市場に示すことで、日銀は受身ではなく、積極的に緩和策を打ち続けるとの見方をさせたかったのだろう。
今後追加緩和策としては、自然な姿としては12/1日に導入した新型オペの拡充だろう。現在の10兆円の増額や、期間3ヶ月のオペの期間延長決定などは比較的ハードルが低いように思われる。
その他、ターム物金利の低め誘導、日銀券ルールの見直しを行い長期国債買取増額、外債購入、さらなる時間軸強化なども検討されるだろうが、これらは事態の深刻度合いによる。いずれにせよデフレファイターを宣言した日銀にとって、今後は踏み込んだ量的金融緩和をどう実現するのか、大胆かつ具体的な手段を示す局面になってきた。

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総合政策研究部   常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任

矢嶋 康次 (やじま やすひで)

研究・専門分野
金融財政政策、日本経済 

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