2009年12月01日

臨時日銀決定会合(12/1):政府との協調をアピール、10兆円資金供給、広い意味での量的金融緩和策

総合政策研究部 常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任 矢嶋 康次

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■introduction

・政府との協調をアピール、効果は限定的。市場の期待は次の策へ
日銀は1日臨時の決定会合を開催し、新しい資金供給手段の導入を決めた。新しい資金供給オペは0.1%の固定金利で3ヶ月の資金を供給するもので、担保は国債や社債、CPなど全ての日銀適格担保で、供給額は10兆円程度を予定している。
長めの資金供給を行なうことで、やや長めの金利のさらなる低下を促すことを通じて金融緩和の一段の強化を図ることとした。白川総裁は会見で今回の措置が広い意味での量的金融緩和策であるとしている。
11月30日の白川総裁の講演は、数週間前まで認めなかった「デフレ」をあっさり認め、その上で「金融緩和と金融市場の安定確保の両面で、デフレ克服のために最大限の努力を行っていく」「必要と判断される場合には、迅速・果敢に行動する態勢を整えている」と述べていた。
筆者は講演を受け近々追加政策が講じられると感じていた。日銀が追加緩和策を検討するのは政府との協議(2日)を踏まえて次回決定会合(17,18日)と考えていただけに、本日臨時決定会合を開催したということには正直驚いた。明日の政府との協議の前に日銀として策を講じたほうが得策との見方が強まったのだろう。
今回の策はアナウンスメント効果、安全弁としての効果は期待できそうだ。また長めの金利が低下すれば日米金利差を意識したドル安・円高に多少影響がでてくるかもしれない。
しかし、臨時決定会合というタイミングのサプライズに比べて、(現状金融政策に多くを望むのも酷だが)どうしても出てきた政策は小粒で、円高反転、デフレを阻止させるほど大きな効果があるとは思えない。
1日午後2時から臨時の金融政策決定会合を開き、追加の緩和策を検討すると報道され、金融市場は意外感から金利が急低下、為替市場でも円売り、株式市場は大幅続伸となった。市場の事前予想では国債買い入れ増額、外債購入、量的金融緩和導入などが出ていたこともあり、市場にとっては期待はずれの内容と受け取られる可能性が高い。
もうひとつ今後注目なのが政府と日銀の温度差だ。新政権は従来から日銀の独立性に配慮したコメントを発してきたが、本日の閣僚の発言を見ると、量的金融緩和導入を期待するといったかなり突っ込んだ意見が噴出していた。
明日の鳩山首相との会談は、日銀が先に動いたこともあり、その場でさらなる緩和策要求といった流れにはならないだろうが、この先経済・金融状況が冷え込めば、政府から量的金融緩和などの追加策の要求はかなり強くでてくるだろう。
そのあたり市場も今回の一見で見透かしており、経済・金融環境で催促相場の流れができやすくなったといえそうだ。

(2009年12月01日「経済・金融フラッシュ」)

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総合政策研究部   常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任

矢嶋 康次 (やじま やすひで)

研究・専門分野
金融財政政策、日本経済 

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