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2009年10月16日
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- 中期的に持続可能な成長軌道である潜在GDPは、潜在資本投入量、潜在労働投入量、全要素生産性の3つで決まる。金融危機はこれらを通じて2009年~2010年の潜在GDPを押し下げる。不適切な政策対応が、資金調達の量やコストへの制約の長期化や、構造的な失業の増加という結果をもたらせば、より長いスパンの成長軌道に影響が及ぶ。
- 欧州には第一次石油危機後の不適切な政策対応で構造的な失業が増大、財政の悪化と低成長に陥った経験がある。高齢化への対応という面でも雇用政策の重要性は増している。
- 足もとの雇用調整の展開は改革の成果と構造的な硬直性の残存を示す材料が入り混じっている。政策対応の面では、労働市場改革がEUの共通政策として推進されるようになっており、各国の政策も過去の経験を教訓に中期的な目標との整合性が求められていることは評価できよう。
- それでも、改革を実行するのは各国の国民によって選ばれた各国政府であり、南欧など改革で立ち遅れが目立つ国が、さらに遅れをとる可能性は否定できない。
(2009年10月16日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- ・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職
・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員
伊藤 さゆりのレポート
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