- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経営・ビジネス >
- 企業経営・産業政策 >
- 新型インフルエンザと企業のリスク管理
■目次
1--------想定外、想定内の出来事
2--------試されたBCP(事業継続計画)
3--------BCPとBCM(事業継続マネジメント)
4--------おわりに
■introduction
2009年6月12日(日本時間)に、WHO(世界保健機関)による新型インフルエンザのパンデミック警報が最高のフェーズ6に引上げられた。ただ、今回の新型インフルエンザ(A/H1N1)は弱毒性であり、検討され新設された健康被害の深刻度の基準は「モデレート(中度)」と発表された。冬季に入った南半球では感染拡大が続き、09年7月初めにはWHOの発表で世界の感染者数は約7.7万人になった。国内でも新たな感染確認の報告が続いており、発生後約2ヶ月で感染者数は1,500人を突破した。
今回、想定外であったことは、従前より世界中が想定していた強毒性(高病原性)の鳥由来の新型インフルエンザ(A/H5N1)のパンデミックでなく、弱毒性のタイプであったことである。当面は弱毒性の新型インフルエンザへの対応が必要であるが、潜在的に強毒性の新型インフルエンザの脅威は存在しており、今後の報道や厚生労働省のホームページ内の情報には注意が必要である。今回は弱毒性とはいえ、未知のウイルスによる新型インフルエンザへの備えの重要性に、再認識を迫られる出来事であった。
想定内であったことは、前述のとおり強毒性の新型インフルエンザを想定した備えを進めていた国のガイドラインや行動計画、また自治体ごとの対応準備や個別企業で構築が進められていたBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)の対応範囲内で済んでいる点である。国内では現在も発症の報告数が若干増加傾向にあるものの、今回の新型インフルエンザ感染による死者は出ておらず、爆発的な感染拡大に至っていないことは幸いなことである。
しかし、新型インフルエンザの流行は過去の例からも2~3回ほどの流行の山があり、WHOも現在は初期段階であり、「第2の波」への注意を促している。これらの内容も想定内の情報である。また、現在は弱毒性の新型インフルエンザウイルスが、強毒性に変異する可能性もあるとの複数の専門家の指摘もあり、国から各種団体、企業から家庭、各個人まで、引き続き正確な新型インフルエンザに関する情報・知識を収集し、秋口以降に備えることが肝要である。
青山 正治
研究・専門分野
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年04月23日
他国との再保険の監督に関する留意事項の検討(欧州)-EIOPAの声明 -
2024年04月23日
気候変動-温暖化の情報提示-気候変動問題の科学の専門家は“ドラマが少ない方向に誤る?” -
2024年04月23日
今後お金をかけたいもの・金融資産 -
2024年04月23日
今週のレポート・コラムまとめ【4/16-4/22発行分】 -
2024年04月22日
2024年3月、グローバル株式市場は上昇が継続
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
-
2023年07月03日
News Release
【新型インフルエンザと企業のリスク管理】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
新型インフルエンザと企業のリスク管理のレポート Topへ