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- 雇用・賃金統計09年5月~雇用者数の減少幅が過去最大に
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■見出し
・雇用者数は過去最大の減少幅に
・有効求人倍率は過去最低を更新
・6月、7月の賃金は下落率急拡大の公算
■introduction
総務省が6月29日に公表した労働力調査によると、5月の完全失業率は前月から0.2ポイント上昇し5.2%となった(ロイター事前予想:5.2%、当社予想も5.2%)。失業率はこの4ヵ月間で1.1ポイントの急上昇となった。
景気はすでに回復局面に入っているが、失業率は景気の遅行指標であるため、昨年秋以降の景気の急速な悪化を受けて、当面は上昇傾向が続くことが見込まれる。当研究所では、失業率は今後数ヵ月のうちに過去最悪の5.5%を超えた後、10年初め頃には6%程度まで上昇すると予想している。
雇用者数は前年比▲1.8%の大幅減少となり、4月の同▲1.3%から減少幅が拡大した。自営業主・家族従業者数も大幅減少が続いたため、就業者数も前年比▲2.1%(4月:同▲1.7%)と減少幅が拡大した。雇用者数は前年に比べ▲98万人の減少となったが、これは1953年の統計開始以来最大の落ち込み幅(従来は02年5月の▲93万人)である。
失業者数は347万人、前年に比べ77万人の増加となり、4月の71万人増から増加幅がさらに拡大した。失業者の内訳を求職理由別に見ると、非自発的な離職による者が前年に比べ57万人増(うち勤め都合が46万人増)、自己都合が6万人増となっており、失業者が急増するとともに、失業の中身も深刻化している。
雇用者数の内訳を産業別に見ると、鉱工業生産は持ち直しの動きが鮮明となっているが、製造業の雇用者数は、08年度末にかけての生産活動の大幅な落ち込みを反映し、前年に比べ▲84万人(4月:同▲55万人減)と減少幅が急拡大した。また、派遣社員が含まれる職業紹介・労働者派遣業の雇用者数は96万人、前年に比べ▲29万人減と7ヵ月連続の減少となり、減少ペースはここにきて加速している(2月:▲7万人→3月:▲18万人→4月:▲24万人→5月:▲29万人)。
従業員規模別には、1~29人の中小企業の減少幅(前年比▲50万人)が非常に大きいが、これまで増加を続けてきた500人以上の大企業も前年比▲5万人とほぼ2年ぶりの減少となった。企業規模にかかわらず、雇用情勢は急速に悪化している。
(2009年06月30日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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