2008年11月28日

交易条件の改善は企業収益の回復につながるか

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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  1. 世界経済の減速を背景とした国際商品市況の急落に伴い、6年以上にわたり悪化が続いていた交易条件は改善に転じている。2008年7-9月期の交易損失は▲31.8兆円まで拡大したが、2009年1-3月期には▲20兆円程度にまで縮小することが見込まれる。
  2. 交易条件の改善自体は企業収益の押し上げ要因だが、交易条件が改善している局面では企業収益はむしろ悪化していることが多い。交易条件の改善は、世界経済の減速に伴う国際商品市況の下落によってもたらされることが多いが、世界経済の減速は日本の輸出、企業の売上の減少につながり、企業収益の下押し要因となるためである。過去の例では、交易条件改善によるプラス効果を売上減少によるマイナス効果が上回ることがほとんどである。
  3. 交易条件の改善は、企業収益の急速な悪化を緩和する役割を果たすことは期待できるものの、海外経済の急減速を背景とした売上数量の大幅な落ち込みを打ち消すまでには至らないだろう。
  4. 企業収益が増加に転じるのは、米国をはじめとした海外経済の持ち直しに伴い輸出の回復が見込まれる2009年度末頃と予想する。
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(2008年11月28日「Weekly エコノミスト・レター」)

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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