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- 鉱工業生産08年3月~1-3月期は4四半期ぶりの減産
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■見出し
・1-3月期の生産は前期比▲0.6%
・4-6月期の生産も弱含みが継続か
■introduction
経済産業省が4月30日に公表した鉱工業指数によると、08年3月の鉱工業生産指数は前月比▲3.1%と2ヵ月ぶりの低下となり、事前の市場予想(ロイター集計:前月比▲0.8%、当社予想は同▲1.6%)を大きく下回った。前年同月比は▲0.4%となり05年7月以来、32ヵ月ぶりのマイナスとなった。
出荷指数は、前月比▲3.9%と2ヵ月ぶりの低下、在庫指数は前月比0.2%と2ヵ月連続の上昇となった。
3月の生産を業種別に見ると、速報段階で公表される16業種中、12業種が前月比で低下(4業種が上昇)となった。特に輸出ウェイトの高い輸送機械(前月比▲6.8%)、一般機械(同▲5.5%)、情報通信機械(同▲3.9%)、精密機械(同▲8.6%)の落ち込みが目立った。
なお、鉱工業指数は4/17公表の2月確報分より2000年基準から2005年基準へと切り替えられた。2000年基準の指数では、08年1月が前月比▲2.2%、2月が同▲1.2%(速報)と、年明け以降の急速な落ち込みが示されており、1-3月期の大幅減産はほぼ確実と見られていたが、2005年基準の指数では、季節調整方法の変更などから、1月、2月とも前月比の伸びがそれぞれ▲0.5%、1.6%と大幅に上方改定されたため、一転して1-3月期は前期比でプラスを維持するとの見方が増えていた。
しかし、3月の生産が市場予想を大きく下回ったことで、1-3月期は前期比▲0.6%の減少となり、旧基準で想定していたよりも落ち込み幅は小さかったものの、年明け以降生産が急減速しているという姿は結局変わらなかった。
1-3月期の生産指数を業種別に見ると、07年後半の生産を牽引していた電子部品・デバイスが前期比▲4.2%(10-12月期:同5.4%)と大きく落ち込んだのが目立つ。また、07年10-12月期に前期比4.4%の高い伸びとなった輸送機械は、米国、EU向け輸出の減少を反映し、同0.3%とほぼ横ばいにとどまった。
一方、建築基準法改正の影響で大きく落ち込んでいた建設財の生産は、住宅着工の持ち直しを反映して、1-3月期は前期比0.2%(10-12月期は同▲3.0%)と下げ止まりの動きが見られた。設備投資のうち、機械投資の一致指標である資本財出荷(除く輸送機械)は07年10-12月期の前期比▲1.0%の後、1-3月期は▲4.2%と減少幅が拡大した。GDP統計の設備投資は、07年10-12月期には前期比2.0%の高い伸びとなったが、08年1-3月期は急減速する可能性が高い。
(2008年04月30日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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