- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 不動産 >
- 都市計画 >
- 耐震改修の促進は市区町村の取組みから
コラム
2007年08月06日
新潟県中越沖地震では11人の命が奪われた。その内、建物の下敷きになって亡くなった方が9人に及んだ。全壊した住宅は1,069棟、半壊が2,129棟、一部損壊が2万3,246棟で、あわせて2万6,000棟を越える住宅に被害が及んだ(8月3日新潟県災害対策本部発表)。
とりわけ被害が大きかった柏崎市では、一部損壊も含めて1万8,578世帯が住宅の被害を受けた。柏崎市の世帯総数が3万3,841世帯(7月1日新潟県推計人口)であるから、実に約55%の世帯に被害が及んだことになる。同じく被害が大きかった出雲崎町は総世帯の約45%、刈羽村は約43%に及んでいる。
おそらく倒壊した住宅の多くが、現在の耐震基準以前に建築され、それ以降耐震改修工事を行っていなかったものと思われる。このような古くて耐震性の劣る住宅は耐震改修を行わなければ、今回のように大地震に耐えることができずに犠牲者を出すことになってしまう。したがって耐震改修の促進が急務なのであるが、それが十分に進んでいない現状がある。
現在の耐震基準は1981年に定められたもので、これより以前に建築された住宅は耐震性に劣る可能性が高く、耐震改修が必要とされている。国土交通省はこのような住宅が、全国に1,150万戸(2003年時点)あると推計しており、これは全ての住宅の約25%に当たる。こうした中で、政府は2015年までに耐震化率を現在の75%から、少なくとも9割にするという方針を示している。
2005年に改正された耐震改修促進法では、耐震化の目標を定めて計画的に推進を図るため、都道府県に対して耐震改修促進計画の策定を義務付けた。今年7月には全ての都道府県で策定が完了する予定であったことから、まさに、これから計画的な取り組みが本格化していこうとする矢先に発生した震災となり、行政当局者は、耐震改修の促進が急務であることをあらためて思い知らされたことであろう。
しかし、これを一番認識しなければいけないのは住宅の所有者自らであり、また耐震改修促進計画が必要なのは、市区町村であると筆者は考えている。なぜなら、住宅の改修を行うのは所有者自らであり、それを支援するのは所有者に最も身近な自治体である市区町村になるからだ。
改正耐震改修促進法では、市区町村は計画策定に努めるとしているが、国の方針では、可能な限り全ての市区町村において策定されることが望ましいとしている。
国土交通省の調べでは、2008年までに全国の約47%の市区町村において計画が策定される予定となっている。予定がない市区町村においても今回の震災を教訓に今一度計画策定に取り組むことを期待したい。
とりわけ被害が大きかった柏崎市では、一部損壊も含めて1万8,578世帯が住宅の被害を受けた。柏崎市の世帯総数が3万3,841世帯(7月1日新潟県推計人口)であるから、実に約55%の世帯に被害が及んだことになる。同じく被害が大きかった出雲崎町は総世帯の約45%、刈羽村は約43%に及んでいる。
おそらく倒壊した住宅の多くが、現在の耐震基準以前に建築され、それ以降耐震改修工事を行っていなかったものと思われる。このような古くて耐震性の劣る住宅は耐震改修を行わなければ、今回のように大地震に耐えることができずに犠牲者を出すことになってしまう。したがって耐震改修の促進が急務なのであるが、それが十分に進んでいない現状がある。
現在の耐震基準は1981年に定められたもので、これより以前に建築された住宅は耐震性に劣る可能性が高く、耐震改修が必要とされている。国土交通省はこのような住宅が、全国に1,150万戸(2003年時点)あると推計しており、これは全ての住宅の約25%に当たる。こうした中で、政府は2015年までに耐震化率を現在の75%から、少なくとも9割にするという方針を示している。
2005年に改正された耐震改修促進法では、耐震化の目標を定めて計画的に推進を図るため、都道府県に対して耐震改修促進計画の策定を義務付けた。今年7月には全ての都道府県で策定が完了する予定であったことから、まさに、これから計画的な取り組みが本格化していこうとする矢先に発生した震災となり、行政当局者は、耐震改修の促進が急務であることをあらためて思い知らされたことであろう。
しかし、これを一番認識しなければいけないのは住宅の所有者自らであり、また耐震改修促進計画が必要なのは、市区町村であると筆者は考えている。なぜなら、住宅の改修を行うのは所有者自らであり、それを支援するのは所有者に最も身近な自治体である市区町村になるからだ。
改正耐震改修促進法では、市区町村は計画策定に努めるとしているが、国の方針では、可能な限り全ての市区町村において策定されることが望ましいとしている。
国土交通省の調べでは、2008年までに全国の約47%の市区町村において計画が策定される予定となっている。予定がない市区町村においても今回の震災を教訓に今一度計画策定に取り組むことを期待したい。
(2007年08月06日「研究員の眼」)

03-3512-1814
経歴
- 【職歴】
1994年 (株)住宅・都市問題研究所入社
2004年 ニッセイ基礎研究所
2020年より現職
・技術士(建設部門、都市及び地方計画)
【加入団体等】
・我孫子市都市計画審議会委員
・日本建築学会
・日本都市計画学会
塩澤 誠一郎のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2024/08/13 | 空き家の管理、どうする?~空き家の管理を委託する際、意識すべき3つのこと~ | 塩澤 誠一郎 | 研究員の眼 |
2024/08/07 | 空き家の管理から活用へ~「不動産業者による空き家管理受託のガイドライン」の策定を機に、空き家を管理から活用へと導く不動産業者の増加に期待~ | 塩澤 誠一郎 | 研究員の眼 |
2024/06/24 | 賃貸住宅の断熱・遮音改修のススメ~家主にとっても入居者にとっても、地球温暖化対策にとっても意義のある賃貸住宅経営を目指して~ | 塩澤 誠一郎 | 基礎研レポート |
2024/02/08 | 聖地巡礼から気付くこと~地元民のための地元の聖地化に必要な創作の力~ | 塩澤 誠一郎 | 研究員の眼 |
新着記事
-
2025年03月21日
東南アジア経済の見通し~景気は堅調維持、米通商政策が下振れリスクに -
2025年03月21日
勤務間インターバル制度は日本に定着するのか?~労働時間の適正化と「働きたい人が働ける環境」のバランスを考える~ -
2025年03月21日
医療DXの現状 -
2025年03月21日
英国雇用関連統計(25年2月)-給与(中央値)伸び率は5.0%まで低下 -
2025年03月21日
宇宙天気現象に関するリスク-太陽フレアなどのピークに入っている今日この頃
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【耐震改修の促進は市区町村の取組みから】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
耐震改修の促進は市区町村の取組みからのレポート Topへ