2006年01月20日

2006年のエマージング経済~資金流入環境の変化は潜在的リスク~

経済研究部 常務理事 伊藤 さゆり

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  • 原油・一次産品価格の上昇と世界的な低金利を背景とする潤沢な資金の流入とを背景に、エマージング経済の高成長が続いている。2005年の成長率は、一部の国の引締めもあり2004年は下回ったものの、なお高水準を維持した。
  • 2006年の成長持続を巡る潜在的なリスク要因は、資金流入環境の急変である。主要通貨の長期金利上昇は緩やかなペースが見込まれる一方で、エマージング経済では危機の経験から政策枠組みの修正、金融システムの健全化、対外債務構造の改善、外準の積み増しが進展しており、急激で大規模な調整のリスクは低下している。
  • しかし、過去3年にわたる高成長の結果、国際収支面では製品輸出の供給力・競争力の高い中国、資源国(ロシア、ブラジル、中東)で経常収支黒字が拡大する一方、インド、トルコ、中東欧などは経常赤字が拡大している。経常赤字国や債務残高の大きい国は、ボラティリティーが高まりやすくなっている点に注意が必要だろう。
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(2006年01月20日「Weekly エコノミスト・レター」)

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経済研究部   常務理事

伊藤 さゆり (いとう さゆり)

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

経歴
  • ・ 1987年 日本興業銀行入行
    ・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
    ・ 2023年7月から現職

    ・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
    ・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
    ・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
    ・ 2017年度~ 日本EU学会理事
    ・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
    ・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
               「欧州政策パネル」メンバー
    ・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
    ・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
    ・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員

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