2005年10月07日

金融政策・市場の動き~量的緩和解除を視野に入れた日銀

総合政策研究部 常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任 矢嶋 康次

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  1. 日銀審議委員内では、来年春先から夏場にかけて量的金融緩和の解除が可能というのがコンセンサスとなっている模様。ただし、解除後の政策運営については意見が区々のようだ。
  2. 10月31日には展望リポートが公表される。2005年度がゼロ程度、2006年度については、0.4%程度の数値が示されるだろう。量的金融緩和の3つの解除条件のうち2つ目は十分クリアーされる水準が提示されそうだ。
  3. 10年国債金利は、日本経済の先行きには原油高という懸念材料はあるものの、景気回復期待が強く金利上昇の圧力がかかりやすいことに加え、秋口以降コアCPIが前年比プラスに転じ始め早期量的金融緩和解除の思惑もいっそう高まることから、金利が徐々に強含む展開を予想する。
  4. 円ドルレートは、日本の国内景気回復、早期量的金融緩和解除観測など円高材料があるものの、当面ドル高要因に反応する展開が続くだろう。ただし年末以降は、米国の連続的な利上げがストップし、逆に日本の量的金融緩和解除が注目され、日米金利差縮小から円が買われる展開になると予想。ユーロドルレートは、ユーロ圏での構造改革進展への不安が高まる中、米欧州の景況感・金利差が拡大するため、ユーロ安の展開が続くだろう。ただし年末以降ユーロ圏景気がテンポは緩やかながら持ち直し傾向を強め、米欧金利差・景況感格差が一服し、ユーロのじり安が止まるとの展開を予想する。
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(2005年10月07日「Weekly エコノミスト・レター」)

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総合政策研究部   常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任

矢嶋 康次 (やじま やすひで)

研究・専門分野
金融財政政策、日本経済 

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