- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 年金 >
- 企業年金 >
- 中小企業の退職金・年金を考える
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
■目次
1.改革を迫る適格退職年金の廃止
2.受け皿に一長一短
3.受け皿の改善を
■introduction
この数年、大企業では退職金・年金制度の改革が進んだ。従業員1,000人以上の企業では、過去3年に退職給付制度の見直しを行った割合と今後3年に見直しを行うとする企業の割合が84%に達している。それに比べ、中小企業では見直しが進んでいない。同じ数字を従業員100人未満の企業で見ると、合計27.6%に過ぎない(図表-1)。
といっても、制度を見直したいというニーズは中小企業にもある。その最大の要因は、適格退職年金制度の廃止である。適格退職年金の契約数は2003年度末でも5万9千件あった。しかも、最低15人から設立できるため、その多くは中小企業の契約である。ところが、2002年に施行された確定給付企業年金法により、適格退職年金制度は10年以内に廃止されることになった。10年の間には見直さざるを得ないのである。
見直しの要因は他にもある。1つは退職金や年金の負担増である。年金制度を持っている企業では、バブル崩壊以降の運用利回りの下落・低迷により、掛け金の追加拠出を迫られている。一時金制度を持っている企業では、従業員の勤続の長期化に加えて、団塊世代の引退が迫っている。そのため、退職一時金の支払額が、「こんなに払うのか」と経営者自身が驚くほど増えてしまった例も少なくない。
それにもかかわらず、中小企業で見直しが進んでいない。それは、経営者が毎日の商売や資金繰りに追われて、退職金や年金の仕事に時間を割く余裕が少ないためであろう。制度を変えるには、金融や財務のほか、税務や労働法の知識が必要になる。それらの問題を1つ1つ解いていくだけの時間も人も足りないのである。
法律上は、適格退職年金の行く末を2012年までに決めればよいとしても、改革が遅れてしまった結果、低金利により追加掛け金が生じたり、団塊世代の退職により負担が嵩んだりすることも考えられる。
(2005年02月25日「基礎研マンスリー」)
臼杵 政治
臼杵 政治のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2011/03/02 | 米国の金融規制改革法の影響~資産運用への示唆 | 臼杵 政治 | ニッセイ景況アンケート |
2011/02/25 | 終身年金パズルについて | 臼杵 政治 | 基礎研マンスリー |
2011/02/01 | 年金基金は長期投資家か(2) | 臼杵 政治 | ニッセイ年金ストラテジー |
2011/01/24 | 終身年金パズルについて | 臼杵 政治 | ジェロントロジーレポート |
新着記事
-
2025年07月11日
トランプ関税の日本経済への波及経路-実質GDPよりも実質GDIの悪化に注意 -
2025年07月10日
企業物価指数2025年6月~ガソリン補助金の影響などで、国内企業物価は前年比3%を割り込む~ -
2025年07月10日
ドイツの生命保険監督を巡る動向(2)-BaFinの2024年Annual ReportやGDVの公表資料からの抜粋報告(生命保険会社等の監督及び業績等の状況)- -
2025年07月09日
バランスシート調整の日中比較(後編)-不良債権処理で後手に回った日本と先手を打ってきた中国 -
2025年07月09日
貸出・マネタリー統計(25年6月)~銀行貸出の伸びが回復、マネタリーベースは前年割れが定着
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年07月01日
News Release
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
【中小企業の退職金・年金を考える】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
中小企業の退職金・年金を考えるのレポート Topへ