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コラム
2004年02月23日
1.大規模介入で支えられた相場 米国経済の高成長が続くなかで、経常収支の赤字拡大が為替市場ではドル安圧力となっている。昨年初めからの推移を見れば、ユーロの上昇幅に対して円の上昇幅はこれをかなり下回っている。これは政府・日銀が大規模な円売り介入を繰り返しているからだ。2003年1年間の円売り介入額は20兆を超え、1月に入っての介入額も7兆円程度に達している。国際収支では、経常収支黒字の反対側には資本の流出があり資本収支は赤字というのが常識だ。しかし、2003年の日本の国際収支は経常収支も資本収支も大幅な黒字となり、外貨準備が2000億ドル以上も増加するという異常な姿となった。 2.玉虫色の声明 2月7日のG7では、ドル安防止になんらかの合意ができるのではないかという期待があった。声明には「為替レートの過度の変動や無秩序な動きは経済成長にとって望ましくない」という文言と共に、「国際金融システムに、市場メカニズムに基づく円滑で広範な調整を促進するため、為替レートの柔軟性を欠く主要国・経済地域には、より柔軟な為替レートが望ましい」という一文が盛り込まれた。ここには「柔軟性を欠いている主要国・経済地域」という限定が入っている。日本としては、当然これは日本は柔軟性を欠いていないというつもりだが、欧米がそう解釈しているかどうかは定かではない。とりあえず為替市場ではドル安の動きは一休みとなっているが、米国の大規模な「双子の赤字」がある以上、いずれまた問題が蒸し返されるのは必定である。 3.避けられぬ景気への悪影響 「中期的に健全な財政政策が世界的な経常収支の不均衡への取組の鍵である」という、 米国の財政赤字の縮小が重要であるという総論の認識には誰も反対はしない。しかしこれを実際にどう実現するのかという各論に踏み入れば、日本経済もマイナスの影響を覚悟しなくてはならないだろう。 米国の経常収支の大幅な赤字を縮小する方法はいくつか考えられる。 第一はドル安である。米国はドル安を利用して輸出が増加し、輸入品は割高になって輸入が減少する。問題はドル安によって米国金融市場から海外の資金が逃げ出して、株価の下落や債券価格の下落=金利の上昇を招く恐れがあるということだ。 第二の方法は、大規模な増税や歳出の削減によって財政赤字を削減することだ。これによって米国の景気がスローダウンすれば、輸入が減少して経常収支の赤字は縮小する。 第三は、米国の輸出を増やすことであり、米国の最大の貿易赤字対象国である中国はもちろん、第二位の貿易赤字対象国である日本も、米国からの輸入増加が必要になる。 さて、他にも方法はあるかもしれないが、いずれにせよ米国の輸入が減少するか輸出が増加するかが必要であり、日本から見れば輸出の減少か輸入の増加がどうしても必要だ。結局、どうころんでも米国の「双子の赤字」を解消するためには、日本経済へのマイナスの影響は避けられないだろう。 |
(2004年02月23日「エコノミストの眼」)
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