- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 財政・税制 >
- 税制と設備投資 -法人税率引き下げとその効果-
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
1.
近年、日本型成長の源泉とも言える民間設備投資の活力が低下しており、これが需要・供給両面から経済全体の停滞感を強めている。また、日本の法人税率が主要先進国に比べて高いという事実もあることから、投資活性化のための法人税減税が注目されつつある。しかしながら、法人税変更の効果がどの程度なのか、十分な議論が行われているとは言い難い。
2.
そこで本論では、異なる三つの投資決定モデル(加速度=キャッシュフローモデル、新古典モデル、限界qモデル)を用いて、法人税率低下が設備投資にどのようなインパクトをもたらすか、計測を試みた。
3.
法人税率が10%ポイント引き下げは、設備投資を2.2%~3.7%程度引き上げると試算されるが、これは従来一般に考えられてきた効果に比べ、かなり低いものである。その背景には、リスクプレミアムの上昇による企業の主観的割引率の上昇、企業組織の硬直化による投資の「調整費用」上昇、などが考えられる。
4.
投資活性化のためには、単に税率を引き下げ資本コストを軽減するだけでは不十分である。企業にとって、長期の「期待成長率」を高めるため、1980年代の初頭にアメリカで行われた。「サプライ・サイド型減税」を実施することが必要と考えられる。
(1998年03月25日「ニッセイ基礎研所報」)
竹中 平蔵
竹中 平蔵のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2000/03/25 | 政策危機と経済論議 | 竹中 平蔵 | ニッセイ基礎研所報 |
1998/10/13 | 社会保障問題を考える視点 | 竹中 平蔵 | ニッセイ基礎研所報 |
1998/03/25 | 税制と設備投資 -法人税率引き下げとその効果- | 竹中 平蔵 | ニッセイ基礎研所報 |
1995/04/01 | アジアにおける「コンバージョン」の経済分析 | 竹中 平蔵 | 調査月報 |
新着記事
-
2025年04月18日
ECB政策理事会-トランプ関税を受け6会合連続の利下げ決定 -
2025年04月18日
トランプ関税へのアプローチ-日EUの相違点・共通点 -
2025年04月18日
金融セクターにおけるリスクと脆弱性(欧州 2025春)-ESAの合同報告書より。地政学的リスクとサイバーリスクに重点。 -
2025年04月18日
トランプ関税発の円高は止まるか?~マーケット・カルテ5月号 -
2025年04月18日
「未定」が広がるのか、それとも見通しを示すのか?~関税政策と企業の開示姿勢~
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
【税制と設備投資 -法人税率引き下げとその効果-】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
税制と設備投資 -法人税率引き下げとその効果-のレポート Topへ