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■見出し
1.工業化への道
2.社会政治状況
3.障壁
4.マレーシアは成功するか?
■introduction
1991年2月マレーシアのマハティール首相は、「マレーシア:目指すべき道」という標題のスピーチの中で、マレーシアの将来の長期ビジョンを発表した。その中でマハティール首相は「現在および極めて近い将来に生まれてくるマレーシア人は発展途上国と呼ばれるマレーシアに住む最後の世代となってほしい。我々が目的とすべき最終の目標はマレーシアが2020年までに完全な先進国となることである。」と宣言した。
過去10年間において、マレーシアが達成した顕著な成果から判断して、これは根拠のない宣言ではない。もし達成されれば、マレーシアは先進国という地位を得る最初のイスラム国家となる。しかしながら、歴史的にみるとこのような試みはこれまで決してイスラム国家に有利な結果をもたらしていない。例えば、イランはマレーシアと同様な目標を掲げたが、1978年、急進派のイスラム原理教徒により引き起こされた革命によって挫折させられた。また、トルコの近代化計画(西洋文明水準までトルコを発展させる計画)は、Ataturk大統領の極端な世俗化政策がイスラム教グループから猛烈な抵抗にあったため、大きな混乱に陥った。更にリビアの経済改革は、ただリビアを先進国から完全な孤立状態に導いただけに終わった。
以下では、マレーシアの工業化計画の歴史を概観し、更に同国の先進国入りを目指した計画の内容を検証したい。その後、マレーシアが現在社会的にも政治的にも好ましい環境にあるかどうか分析したい。加えて、マレーシアの将来長期ビジョンの障害となりえる潜在的問題にも焦点をあててみたい。
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