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■introduction
英国の中央銀行であるイングランド銀行は、現在、欧州で最も独立性の低い中央銀行の一つで、大蔵省の管轄下にあるも同然である。イングランド銀行は政治から独立し、金融政策の決定に単独責任を負うべきであるとの主張が広まっている。
この主張は、英ポンドのERM(欧州通貨制度為替相場メカニズム)離脱後の政策の失敗によって一層勢いを増している。政府の金融政策および蔵相自身に対する信頼は、ほとんど崩壊した。他の欧州諸国の中央銀行のように今後イングランド銀行の独立性が高まれば、信頼を回復することができるだろう。
これは、通貨統合に至るためには不可欠な前段階であるし、いずれにせよ金融マターへの政治介入は好ましくない。
経済的にみると、中央銀行の独立性とインフレ率の間に、ある程度の相関関係がある。ただ、このことは中央銀行の独立性の影響というよりも、低インフレ経済であることが中央銀行の独立性を高めているのかもしれない。
政府は、中央銀行の独立を支持する経済的論拠に納得しておらず、イングランド銀行を独立させるくらいなら、欧州通貨統合(EMU)の第三段階に移行した方がましだと思っているかもしれない。ただその時機はまだ明らかではない。
(1993年03月01日「調査月報」)
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