- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- イングランド銀行の独立
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
■introduction
英国の中央銀行であるイングランド銀行は、現在、欧州で最も独立性の低い中央銀行の一つで、大蔵省の管轄下にあるも同然である。イングランド銀行は政治から独立し、金融政策の決定に単独責任を負うべきであるとの主張が広まっている。
この主張は、英ポンドのERM(欧州通貨制度為替相場メカニズム)離脱後の政策の失敗によって一層勢いを増している。政府の金融政策および蔵相自身に対する信頼は、ほとんど崩壊した。他の欧州諸国の中央銀行のように今後イングランド銀行の独立性が高まれば、信頼を回復することができるだろう。
これは、通貨統合に至るためには不可欠な前段階であるし、いずれにせよ金融マターへの政治介入は好ましくない。
経済的にみると、中央銀行の独立性とインフレ率の間に、ある程度の相関関係がある。ただ、このことは中央銀行の独立性の影響というよりも、低インフレ経済であることが中央銀行の独立性を高めているのかもしれない。
政府は、中央銀行の独立を支持する経済的論拠に納得しておらず、イングランド銀行を独立させるくらいなら、欧州通貨統合(EMU)の第三段階に移行した方がましだと思っているかもしれない。ただその時機はまだ明らかではない。
(1993年03月01日「調査月報」)
このレポートの関連カテゴリ
ジョン・ドウ
ジョン・ドウのレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
1997/01/01 | たかが数字、されど数字 ―― 私感 | ジョン・ドウ | 調査月報 |
1996/07/01 | ストライキを忘れた英国労働者 | ジョン・ドウ | 調査月報 |
1995/07/01 | 労働党政権下の英国 -金融市場に懸念材料はあるか- | ジョン・ドウ | 調査月報 |
1995/04/01 | THE CITY OF LONDON - ヨーロッパの金融センター | ジョン・ドウ | 調査月報 |
新着記事
-
2025年04月30日
今週のレポート・コラムまとめ【4/22-4/28発行分】 -
2025年04月28日
リスクアバースの原因-やり直しがきかないとリスクはとれない -
2025年04月28日
欧州委、AppleとMetaに制裁金-Digital Market Act違反で -
2025年04月25日
世界人口の動向と生命保険マーケット-生保マーケットにおける「中国の米国超え」は実現するのか- -
2025年04月25日
年金や貯蓄性保険の可能性を引き出す方策の推進(欧州)-貯蓄投資同盟の構想とEIOPA会長の講演録などから
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
【イングランド銀行の独立】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
イングランド銀行の独立のレポート Topへ