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2025年07月07日

「縮みながらも豊かに暮らす」社会への転換(1)-SDGs未来都市計画から読み解く「地方創生2.0」への打ち手

生活研究部 准主任研究員 小口 裕

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■要旨
 
  • 本稿では、2018年から先行して推進されてきた「地方創生SDGs」政策、なかでも「SDGs未来都市」事業に焦点を当て、その成果と課題を振り返る。
     
  • 2025年6月13日、政府は「地方創生2.0基本構想」を閣議決定したが、今後の地方創生2.0を考えるうえで1つの鍵となるのは、2018年度以降展開された地方創生SDGs政策、とりわけ「SDGs未来都市 」の経緯と振り返りである。
     
  • 本稿分析の結果からは、関係人口の創出や副業人材の活用など「人のつながり」や、地域が自ら「稼ぐ力」を高める取り組みへと進化していることが伺える。一方で、包括的な地域創生という観点からテーマや都市の偏りなど、地方創生2.0に向けた課題も見え隠れしている。
     
  • 今後、人口減少下でも成長を続ける地域経済や、多様な人材が活躍できる社会の実現に向けて、これからの地域経済の新たな成長機会を探るうえで、SDGs未来都市から見えてくる地方創生の状況を具体的に分析・考察していく。


■目次

1――はじめに──地方創生2.0基本構想のこれから
2――地方創生2.0の基本構想とは──「縮みながらも豊かに暮らす」社会構造への転換へ
  1|「地方創生2.0基本構想」
   ──人口規模が縮小しても経済成長し、社会を機能させる適応策とは
  2|地方創生1.0政策における反省と総括
   ──地方創生2.0に繋げる4つの課題 
  3|地方創生政策の反省を活かす鍵
   ──地方創生2.0を先取りした「地方創生SDGs政策」
3――選定都市の全体傾向は──「量」から「質」へ、そして「稼ぐ力」の手応え
  1|初動の熱量
   ──インバウンドによる観光振興から次第に「稼ぐ力」へ焦点が移行
  2|中部・首都圏・近畿都市圏に集中
   ──経済的プレゼンスの高い地方都市圏の存在感が際立つ 
  3|SDGsゴール別に見える「課題の優先順位」
   ──「教育」「保険福祉」「まちづくり」が上位
4――まとめ/地方創生SDGsの成果──制度として広がりと影響の他、構造上の課題も

本資料記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と完全性を保証するものではありません。
また、本資料は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2025年07月07日「基礎研レター」)

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生活研究部   准主任研究員

小口 裕 (おぐち ゆたか)

研究・専門分野
消費者行動(特に、エシカル消費、サステナブル・マーケティング)、地方創生(地方創生SDGsと持続可能な地域づくり)

経歴
  • 【経歴】
    1997年~ 商社・電機・コンサルティング会社において電力・エネルギー事業、地方自治体の中心市街地活性化・商業まちづくり・観光振興事業に従事

    2008年 株式会社日本リサーチセンター
    2019年 株式会社プラグ
    2024年7月~現在 ニッセイ基礎研究所

    2022年~現在 多摩美術大学 非常勤講師(消費者行動論)
    2021年~2024年 日経クロストレンド/日経デザイン アドバイザリーボード
    2007年~2008年(一社)中小企業診断協会 東京支部三多摩支会理事
    2007年~2008年 経済産業省 中心市街地活性化委員会 専門委員

    【加入団体等】
     ・日本行動計量学会 会員
     ・日本マーケティング学会 会員
     ・生活経済学会 准会員

    【学術研究実績】
    「新しい社会サービスシステムの社会受容性評価手法の提案」(2024年 日本行動計量学会*)
    「何がAIの社会受容性を決めるのか」(2023年 人工知能学会*)
    「日本・米・欧州・中国のデータ市場ビジネスの動向」(2018年 電子情報通信学会*)
    「企業間でのマーケティングデータによる共創的価値創出に向けた課題分析」(2018年 人工知能学会*)
    「Webコミュニケーションによる消費者⾏動の理解」(2017年 日本マーケティング・サイエンス学会*)
    「企業の社会貢献に対する消費者の認知構造に関する研究 」(2006年 日本消費者行動研究学会*)

    *共同研究者・共同研究機関との共著

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