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2025年07月03日

私的年金のカバレッジ拡大に向けて

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いわゆる年金制度改正法が先月成立した。私的年金では、iDeCoの加入可能年齢の引き上げや企業型DCにおけるマッチング拠出の限度額の緩和等により、確定拠出年金の活用の幅が広がることになる。iDeCoの加入可能範囲が拡大されて以降、様々な改正を経て加入者が増加する確定拠出年金は今後一層の拡大が期待される。
 
しかしながら、確定給付型の企業年金を含めた私的年金の加入者数は厚生年金被保険者数の半分にも満たないのが現状である。私的年金の更なる普及拡大に向けては、確定拠出年金の利便性向上とは別の角度からの取り組みを粘り強く続けることも必要となる。
 
課題の一つが、中小企業における私的年金の活用促進だ。中小企業向け制度として2018年に導入された簡易型DCは導入実績がないままに、今般の改正法で中小企業向け制度としての役割を終えることになったが、このことに象徴されるように、中小企業においては、依然として私的年金の活用は広がっていない。
 
基礎年金底上げ措置の先送りにより、公的年金の将来給付への懸念が残る中、将来不安が相対的に大きいとされる中小企業でこそ、私的年金による補完機能の重要性は高い。中小企業で私的年金が幅広く活用されるような取り組みの強化が期待される。

本資料記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と完全性を保証するものではありません。
また、本資料は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2025年07月03日「ニッセイ年金ストラテジー」)

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