2013年07月17日

「統合思考」による発想の転換を!-「統合報告」に向けた非財務情報の重視と企業価値の創造

川村 雅彦

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目次


1――環境・社会の持続可能性と企業価値
  1│ 企業価値にかかわるグローバルな環境的・社会的課題
  2│ 高まる企業の責任と期待
  3│ 狭義の企業価値、広義の企業価値、両者をつなぐ非財務情報
2――重要性を増す非財務情報
  1│ 多様化する企業情報と非財務情報
  2│ 企業価値に対する財務情報の説明力低下
  3│ 非財務情報の中核としての「ESG情報」
  4│ どのような非財務情報が有用なのか?
3――財務情報と非財務情報の戦略的統合
  1│ 試行錯誤が始まった「統合報告」
  2│ そもそも、「統合報告」とは何か?
  3│ 財務情報と非財務情報の関係付け
  4│ 企業価値の創造プロセスと「ビジネスモデル」
4――発想の転換を迫る「統合思考」
  1│鍵を握る「統合思考」
  2│「統合思考」の導入に向けた四つのポイント
おわりに
  ◆ 企業報告が1冊になるという誤解
  ◆ いかに企業戦略の個性を伝えるか
  ◆ ”情報開示の統合”から入るのが現実的?



要約

  • 企業価値の判断において、非財務情報の重要性が世界的に高まっている。財務情報と非財務情報を関連付けて開示する『統合報告』の世界的な議論が本格化していることが背景にある。
  • 特に長期投資家からは、「適切な投資の意思決定のためには、財務情報だけでは不十分である」との指摘がある。
  • これは、企業価値の創造に対する財務情報の説明力や有用性の相対的な低下とともに、非財務情報を重視する企業経営の模索が始まったことを意味する。
  • それでは、非財務情報の重視とは具体的にどのようなことを意味するのか。本稿では、まず非財務情報が重視されるようになった背景を整理し、企業価値と非財務情報の意味を確認する。
  • そのうえで、世界の潮流となりつつある統合報告の動きに日本企業が対応するべく、経営戦略レベルでの発想の転換に不可欠な『統合思考』の導入について、四つのポイントを提案する。
       (1)企業価値を高める”ストーリー”としての経営戦略の認識
       (2)企業価値の創造と毀損回避の両面からのアプローチ
       (3)IR部門とCSR部門の連携を中心とする組織再編
       (4)経営戦略における重要事項を表すKPI(主要業務評価指標)の活用
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