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- 新興国が支える世界経済の実現可能性~米中間の相互依存関係の示唆~
2007年11月22日
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- 米国経済減速の影響は新興国の成長で緩和されるとの見方は根強い。確かに、交易条件が改善している資源国の需要拡大など一定の下支えは期待されるものの、中国の成長パターンやインドの発展段階から見て、二大新興国が米国の製品の「需要アブソーバー」としての役割を直ちに代替することは困難だ。
- 新興国の経済は多様であり、サブプライム後のリスク再評価、米国の成長鈍化、ドル安、原油高の影響は非対称的だ。欧州新興国は資本移動変調の影響を受けやすい経常赤字国であるが、貿易を通じた影響は受け難い。
- アジアは、全体では、対米輸出依存度がとりわけ高い訳ではないが、経済活動に占める輸出の比重は高く、域内貿易は中国を窓口とする欧米向け製品輸出に係わるものも多い。米国の対中貿易赤字の源泉は労働集約製品とパソコン、携帯電話などの機械機器であり、機械機器への需要が鈍化すれば、影響は中国を通じてアジアに広がるだろう。
- 労働集約的分野での米国の対中依存度の高さは、対中貿易赤字が減り難く、中国国内の物価上昇、人民元高の影響を受けやすくなっていることを示すものでもある。
(2007年11月22日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- ・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職
・ 2015~2024年度 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017~2024年度 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022~2024年度 Discuss Japan編集委員
・ 2022年5月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員
・ 2024年10月~ 雑誌『外交』編集委員
・ 2025年5月~ 経団連総合政策研究所特任研究主幹
伊藤 さゆりのレポート
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