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- 貿易統計17年6月~4-6月期の外需寄与度は前期比▲0.2%程度のマイナスに
2017年07月20日
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1.縮小傾向が続く貿易黒字
財務省が7月20日に公表した貿易統計によると、17年6月の貿易収支は4,399億円と2ヵ月ぶりの黒字となったが、事前の市場予想(QUICK集計:4,880億円、当社予想は5,708億円)を若干下回る結果となった。輸出の伸びが前月から低下(5月:前年比14.9%→6月:同9.7%)する一方、円安、原油高の影響もあり、輸入が前年比15.5%(5月:同17.8%)と4ヵ月連続で二桁の伸びとなったため、貿易収支は前年に比べ▲2,466億円の悪化となった。
輸出の内訳を数量、価格に分けてみると、輸出数量が前年比4.0%(5月:同7.5%)、輸出価格が前年比5.5%(5月:同6.9%)、輸入の内訳は、輸入数量が前年比4.1%(5月:同5.4%)、輸入価格が前年比11.0%(5月:同11.8%)であった。
輸出の内訳を数量、価格に分けてみると、輸出数量が前年比4.0%(5月:同7.5%)、輸出価格が前年比5.5%(5月:同6.9%)、輸入の内訳は、輸入数量が前年比4.1%(5月:同5.4%)、輸入価格が前年比11.0%(5月:同11.8%)であった。
季節調整済の貿易収支は814億円の黒字となり、5月の1,227億円から黒字幅が縮小した。輸出が前月比▲0.3%(5月:同0.1%)の減少となる一方、輸入が前月比0.4%(5月:同0.4%)と2ヵ月連続で増加した。季節調整済の貿易収支は15年11月から黒字を続けているが、輸出数量の伸びが頭打ちとなる中で、輸入が数量、価格とも堅調に推移していることから、黒字幅は縮小傾向にある。円安、原油高が進行した場合などには、赤字となる可能性が高まるだろう。
2.アジア向けを中心に輸出が減速
6月の輸出数量指数を地域別に見ると、米国向けが前年比5.2%(5月:同8.0%)、EU向けが前年比4.5%(5月:同16.8%)、アジア向けが前年比3.5%(5月:同6.6%)となった。
4-6月期の地域別輸出数量指数を季節調整値(当研究所による試算値)でみると、米国向けが前期比4.7%(1-3月期:同▲1.9%)、EU向けが前期比3.5%(1-3月期:同1.3%)、アジア向けが前期比▲3.5%(1-3月期:同3.0%)、全体では前期比▲0.3%(1-3月期:同1.5%)となった。米国向け、EU向けは高めの伸びとなったが、好調を続けてきたアジア向けが大きく落ち込んだ。
4-6月期の輸出数量指数は5四半期ぶりの低下となったが、1-3月期までの高い伸びの反動もあり、基調としては底堅さを維持している。ただし、これまで輸出の牽引役となってきたIT関連に一服感がみられることなどから、輸出全体の回復ペースはやや鈍化している。
一方、4-6月期の輸入数量指数(当研究所による季節調整値)は、前期比1.4%(1-3月期:同0.9%)と4四半期連続で上昇した。国内需要の持ち直しを背景に輸入は底堅さを増している。
4-6月期の地域別輸出数量指数を季節調整値(当研究所による試算値)でみると、米国向けが前期比4.7%(1-3月期:同▲1.9%)、EU向けが前期比3.5%(1-3月期:同1.3%)、アジア向けが前期比▲3.5%(1-3月期:同3.0%)、全体では前期比▲0.3%(1-3月期:同1.5%)となった。米国向け、EU向けは高めの伸びとなったが、好調を続けてきたアジア向けが大きく落ち込んだ。
4-6月期の輸出数量指数は5四半期ぶりの低下となったが、1-3月期までの高い伸びの反動もあり、基調としては底堅さを維持している。ただし、これまで輸出の牽引役となってきたIT関連に一服感がみられることなどから、輸出全体の回復ペースはやや鈍化している。
一方、4-6月期の輸入数量指数(当研究所による季節調整値)は、前期比1.4%(1-3月期:同0.9%)と4四半期連続で上昇した。国内需要の持ち直しを背景に輸入は底堅さを増している。
3.4-6月期の外需寄与度は前期比▲0.2%程度のマイナスに
6月までの貿易統計と5月までの国際収支統計の結果を踏まえて、17年4-6月期の実質GDPベースの財貨・サービスの輸出入を試算すると、輸出が前期比ほぼ横ばい、輸入が前期比1%程度の増加となることが見込まれる。この結果、4-6月期の外需寄与度は前期比▲0.2%(1-3月期:前期比0.1%)と4四半期ぶりのマイナスとなることが予想される。
当研究所では鉱工業生産、家計調査、建築着工統計等の結果を受けて、7/31のweeklyエコノミストレターで4-6月期の実質GDP成長率の予測を公表する予定である。現時点では、外需は成長率を押し下げるものの、民間消費、設備投資、公的固定資本形成がいずれも高めの伸びとなることに加え、前期までの在庫調整の進捗を反映し民間在庫変動も成長率を押し上げることから、前期比年率2%台のプラス成長を予想している。
当研究所では鉱工業生産、家計調査、建築着工統計等の結果を受けて、7/31のweeklyエコノミストレターで4-6月期の実質GDP成長率の予測を公表する予定である。現時点では、外需は成長率を押し下げるものの、民間消費、設備投資、公的固定資本形成がいずれも高めの伸びとなることに加え、前期までの在庫調整の進捗を反映し民間在庫変動も成長率を押し上げることから、前期比年率2%台のプラス成長を予想している。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2017年07月20日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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