2016年10月28日

中国経済:1-9月期を総括した上で2017年に向けた注目ポイントを探る~住宅、民間投資、自動車が焦点に

経済研究部 上席研究員   三尾 幸吉郎

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■要旨
  1. 中国経済の成長率は横ばいで推移している。7-9月期の実質成長率は前年同期比6.7%増と3四半期連続で同6.7%増となった。一方、インフレ率は原油の底打ちなどから1-9月期の消費者物価は前年同期比2.0%上昇と昨年の同1.4%上昇を上回った。工業生産者出荷価格も同2.9%低下と昨年の同5.2%低下から下落ピッチが鈍化、デフレ圧力はやや緩和してきた。
     
  2. 供給面の景気指標を確認すると、製造業の工業生産は7%前後で一進一退、製造業PMIも拡張・収縮の境界となる50%を挟む一進一退となっており、製造業は小康状態にある。但し、予想指数が60%近い水準を回復するなど改善の兆しもある。また、非製造業は商務活動指数が53%台を回復したのに加えて、予想指数も高水準で推移するなど堅調な動きを示している。
     
  3. 需要面の景気指標を確認すると、小売売上高は、7-9月期は前年同期比10.6%増と1-6月期の同10.3%増を上回った。固定資産投資(除く農家の投資)は、1-3月期は同10.7%増、4-6月期は同7.3%増、7-9月期には同6.6%増と減速傾向が続いている。また、輸出額(ドルベース)は、7-9月期は同6.3%減と1-6月期の同8.2%減からマイナス幅が縮小した。
     
  4. 金融政策は、景気重視から住宅バブル退治に重点が移ると見られる。これまで景気対策としてインフラ整備を加速させてきたことや、住宅バブル膨張を黙認したことで住宅販売が急増したため、2016年の成長率目標である“6.5-7%”の達成はほぼ確実となった。2017年に向けては、将来に大きな禍根を残さぬよう住宅バブル退治に注力することになるだろう。
     
  5. 2016年1-9月期の中国経済を総括すると、消費は自動車販売の好調に支えられて堅調だったものの、製造業の投資に勢いは無くインフラ投資は息切れ気味となり、投資の減速傾向に歯止めが掛からなかった。2017年に向けての中国経済は、(1)住宅販売・建設の動向(下左図)、(2)民間企業の投資動向、(3)自動車販売の行方(下右図)の3点が注目ポイントといえる。
分譲住宅の新規着工の推移/自動車販売の推移
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経済研究部   上席研究員

三尾 幸吉郎 (みお こうきちろう)

研究・専門分野
中国経済

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