2016年04月28日

消費者物価(全国16年3月)~コアCPI上昇率は秋頃までマイナスが続く公算

経済研究部 経済調査室長   斎藤 太郎

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1.コアCPI上昇率は5ヵ月ぶりのマイナス

消費者物価指数の推移 総務省が4月28日に公表した消費者物価指数によると、16年3月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比▲0.3%(2月:同0.0%)と5ヵ月ぶりのマイナスとなった。事前の市場予想(QUICK集計:▲0.2%、当社予想は▲0.3%)を下回る結果であった。
食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合は前年比0.7%(2月:同0.8%)と上昇率が前月から0.1ポイント縮小、総合は前年比▲0.1%(2月:同0.3%)と13年5月以来、2年10ヵ月ぶりのマイナスとなった。
消費者物価指数(生鮮食品除く、全国)の要因分解 コアCPIの内訳をみると、電気代(2月:前年比▲7.6%→3月:同▲9.0%)、ガス代(2月:前年比▲8.3%→3月:同▲9.5%)、ガソリン(2月:前年比▲15.8%→3月:同▲20.5%)、灯油(2月:前年比▲25.4%→3月:同▲27.8%)の下落幅がいずれも拡大したため、エネルギー価格の下落率は2月の前年比▲10.9%から同▲13.3%へと拡大した。
一方、円高の影響などから輸入物価ベースの食料品は前年比で大幅な下落となっているが、消費者物価の食料(生鮮食品を除く)は前年比2.0%(2月:同2.1%)と高止まりが続いている。
 
コアCPI上昇率を寄与度分解すると、エネルギーが▲1.23%(2月:▲1.00%)、食料(生鮮食品を除く)が0.45%(2月:0.48%)、その他が0.49%(2月:0.52%)であった。

2.物価上昇品目数の割合は7割近い

消費者物価(除く生鮮食品)の「上昇品目数(割合)-下落品目数(割合)」 消費者物価指数の調査対象524品目(生鮮食品を除く)を、前年に比べて上昇している品目と下落している品目に分けてみると、3月の上昇品目数は354品目(2月は351品目)、下落品目数は121品目(2月は130品目)となり、上昇品目数が前月から増加した。
上昇品目数の割合は67.6%(2月は67.0%)、下落品目数の割合は23.1%(2月は24.8%)、「上昇品目割合」-「下落品目割合」は44.5%(2月は42.2%)であった。
コアCPI上昇率はマイナスとなったが、品目数でみれば引き続き7割近くの品目が値上がりしており、物価上昇の裾野の広がりは維持されている。

3.全国コアCPIは秋頃までマイナスが続く公算

16年4月の東京都区部のコアCPIは前年比▲0.3%(3月:前年比▲0.3%)と4ヵ月連続の下落となり、下落率は前月と変わらなかった。事前の市場予想(QUICK集計:▲0.3%、当社予想は▲0.4%)通りの結果であった。
ガソリン(3月:前年比▲21.6%→4月:同▲16.0%)、灯油(3月:前年比▲17.6%→4月:同▲17.5%)の下落幅は縮小したが、電気代(3月:前年比▲13.7%→4月:同▲14.7%)、ガス代(3月:前年比▲17.8%→4月:同▲19.4%)の下落幅が拡大したため、エネルギー価格の下落率は3月の前年比▲16.0%から同▲16.4%へと若干拡大した。
また、高めの伸びが続いていた食料(生鮮食品を除く)は前年比1.4%となり、3月の同1.9%から上昇幅が大きく縮小した。円高の影響から輸入物価ベースの食料品は前年比で大幅な下落が続いており、消費者物価ベースの食料は先行きも伸び率の鈍化傾向が続く可能性が高い。
消費者物価指数(生鮮食品除く、東京都区部)の要因分解 なお、4月は年度替わりの料金改定が行われやすい月である。公立幼稚園保育料(3月:前年比▲0.5%→4月:同3.7%)、補習教育(高校・予備校)(3月:前年比0.9%→4月:同2.3%)、プロ野球観戦料(3月:前年比0.0%→4月:同1.9%)、ゴルフプレー料金(3月:前年比0.0%→4月:同7.4%)など、教育、教養娯楽サービス関連で値上げの動きがみられたが、物価全体に与えるインパクトは限定的にとどまった。
東京都区部のコアCPI上昇率のうち、エネルギーによる寄与が▲1.10%(3月:▲1.08%)、食料(生鮮食品を除く)が0.29%(3月:0.39%)、その他が0.51%(3月:0.50%)であった。
 
原油価格(ドバイ)は1月中旬の1バレル=20ドル台半ばから足もとでは40ドル台前半まで持ち直しているが、電気代、ガス代は原油価格下落の影響が遅れて反映されるため、エネルギー価格の下落ペースは16年夏場にかけて加速することが見込まれる。また、エネルギー以外の物価上昇圧力は依然強いものの、年明け以降に進んだ円高に伴う輸入物価下落の影響で食料品やその他の上昇率も先行きは頭打ちとなる可能性が高い。現時点では、全国のコアCPI上昇率は秋頃までマイナス圏の推移が続くと予想している。
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経済研究部   経済調査室長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

(2016年04月28日「経済・金融フラッシュ」)

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