- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 中国経済 >
- 最近の人民元と今後の展開(2016年2月号)
2016年02月02日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
- 1月の人民元相場(対米国ドル)は3ヵ月連続の元安・ドル高となった。12月の軟調な地合いを引き継いで市場実勢は下落して始まり、8日には当月安値を付けたものの、その後は小反発に転じて結局1月は前月末比で1.3%の元安・ドル高で取引を終えた。
- 2月の市場実勢は1米国ドル=6.5元台で弱含みの展開が続くと予想している。資金流出懸念を背景に軟調地合い継続だが、中国当局が介入で下落を阻止、外貨準備の規模に照らせば下落余地は限られる。但し、基準値と市場実勢の乖離が波乱の芽で、“市場経済国”移行を目指す中国当局が再び基準値を市場実勢に近付ければ、市場が再び混乱する恐れがある。
[ 1月の動き ]
1月の人民元相場(対米国ドル)は3ヵ月連続の元安・ドル高となった。市場実勢(スポット・オファー、中国外貨取引センター)は、12月の軟調な地合いを引き継いで下落して始まり、8日には当月安値(1米国ドル=6.5963元)を付けたものの、その後は小反発に転じて結局1月は前月末比で1.3%の元安・ドル高で取引を終えた(図表-1)。前回レポートでは「1月前半は1米国ドル=6.5元台で弱含みの展開が予想されるものの、1月後半には人民元が戻りを試す可能性がある」としていたが、ほぼその想定どおりの展開となった。
但し、人民元の軟調な地合いに変化は見られない。1月に公表された12月の景気指標は予想外に悪化、特に製造業PMI(予想指数)の悪化は大幅で、先行き不安の高まりを示したため、当月安値を付けた8日以降の戻りの勢いは極めて鈍かった。中国当局による基準値の高め設定や元買いドル売り介入(含む警戒感)が人民元相場の下値を支えたに過ぎないと思われる(図表-2)。
但し、人民元の軟調な地合いに変化は見られない。1月に公表された12月の景気指標は予想外に悪化、特に製造業PMI(予想指数)の悪化は大幅で、先行き不安の高まりを示したため、当月安値を付けた8日以降の戻りの勢いは極めて鈍かった。中国当局による基準値の高め設定や元買いドル売り介入(含む警戒感)が人民元相場の下値を支えたに過ぎないと思われる(図表-2)。
[ 今後の展開 ]
さて、今後の人民元(市場実勢)の動向だが、2月は1米国ドル=6.5元台で弱含みの展開が続くと予想している。中国では12月に続き1月の製造業PMI(予想指数)も悪化して景気先行き不安が高まっている(図表-5)。従って、金融緩和で資金流出が加速するとの懸念を背景とした軟調地合いは今月も続きそうである。一方、中国当局は基準値を市場実勢より高めに設定、元買いドル売り介入で下落を阻止していることから、外貨準備の規模に照らせば下落余地は限られるだろう。
但し、1月に基準値を市場実勢より高めに設定したことが今後の波乱の芽となりかねない。1月末の基準値は、市場実勢(CNY)より約0.4%高く、オフショア市場(CNH)より約1%高く設定された(図表-6)。“市場経済国”移行を目指す中国当局が、今後再び基準値を市場実勢に近付ける操作に出れば、“人民元切り下げ”と受け取られて、市場が再び混乱する恐れがあると思われる。
但し、1月に基準値を市場実勢より高めに設定したことが今後の波乱の芽となりかねない。1月末の基準値は、市場実勢(CNY)より約0.4%高く、オフショア市場(CNH)より約1%高く設定された(図表-6)。“市場経済国”移行を目指す中国当局が、今後再び基準値を市場実勢に近付ける操作に出れば、“人民元切り下げ”と受け取られて、市場が再び混乱する恐れがあると思われる。
(2016年02月02日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ
三尾 幸吉郎
三尾 幸吉郎のレポート
| 日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
|---|---|---|---|
| 2025/10/01 | 図表でみる世界の出生率-出生率が高い国・地域と低い国・地域、それぞれにどんな特徴があるのか? | 三尾 幸吉郎 | 基礎研レター |
| 2025/05/23 | 図表でみる世界の外為レート-世界各地の通貨をランキングすると、日本円はプラザ合意を上回るほどの割安で、人民元はさらに安い | 三尾 幸吉郎 | 基礎研レター |
| 2025/04/15 | 図表でみる世界の民主主義-日本の民主主義指数は上昇も、世界平均は低下。世界ではいったい何が起きているのか? | 三尾 幸吉郎 | 基礎研レター |
| 2024/12/16 | 図表でみる世界のGDP-日本が置かれている現状と世界のトレンド | 三尾 幸吉郎 | 基礎研レター |
新着記事
-
2025年11月04日
今週のレポート・コラムまとめ【10/28-10/31発行分】 -
2025年10月31日
交流を広げるだけでは届かない-関係人口・二地域居住に求められる「心の安全・安心」と今後の道筋 -
2025年10月31日
ECB政策理事会-3会合連続となる全会一致の据え置き決定 -
2025年10月31日
2025年7-9月期の実質GDP~前期比▲0.7%(年率▲2.7%)を予測~ -
2025年10月31日
保険型投資商品の特徴を理解すること(欧州)-欧州保険協会の解説文書
お知らせ
-
2025年07月01日
News Release
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
【最近の人民元と今後の展開(2016年2月号)】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
最近の人民元と今後の展開(2016年2月号)のレポート Topへ













