2009年08月26日

多角化戦略が企業の価値に及ぼす影響について

金融研究部 年金総合リサーチセンター 企業年金調査室長   梅内 俊樹

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多角化戦略が企業の価値を破壊することについては、過去の研究によって数多く報告されている。その大半は米国企業を対象とするものであるが、日本企業についても、2000年以前のデータによる研究によれば、同様の結果が確認されている。そこで本稿では、多角化企業の実際の価値と、専業企業の価値から計算される理論的な価値の差によって計算される超過価値に着目し、2000年以降のデータを使って、多角化戦略自体が企業の価値にどのような影響を及ぼしているかについて検証した。
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その際、企業の価値として、「企業価値」、「事業価値」、「株式リターン」の3つを採用した場合のそれぞれについて、多角化戦略の価値への影響について検証したが、そのいずれのケースにおいても、2000年以降においては、多角化企業の価値が、多角化戦略自体の影響によってディスカウントされている証拠は確認されなかった。
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さらに、多角化企業の価値を左右する要因に関する検証を行ったところ、多角化戦略で価値を高めるためには、いかに収益性の低い事業を排除するか、もしくは、各事業の収益性を高めるかが重要であるとの示唆が得られた。すなわち、多角化企業についても、多角化戦略に固有の要因ではなく、結局のところ、各事業の収益性といった一般的な要因が重視されるべきであることが確認された。

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金融研究部   年金総合リサーチセンター 企業年金調査室長

梅内 俊樹 (うめうち としき)

研究・専門分野
リスク管理、年金運用

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