2009年07月24日

新型インフルエンザと企業のリスク管理

社会研究部 准主任研究員   青山 正治

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■目次

1--------想定外、想定内の出来事
2--------試されたBCP(事業継続計画)
3--------BCPとBCM(事業継続マネジメント)
4--------おわりに

■introduction

2009年6月12日(日本時間)に、WHO(世界保健機関)による新型インフルエンザのパンデミック警報が最高のフェーズ6に引上げられた。ただ、今回の新型インフルエンザ(A/H1N1)は弱毒性であり、検討され新設された健康被害の深刻度の基準は「モデレート(中度)」と発表された。冬季に入った南半球では感染拡大が続き、09年7月初めにはWHOの発表で世界の感染者数は約7.7万人になった。国内でも新たな感染確認の報告が続いており、発生後約2ヶ月で感染者数は1,500人を突破した。
今回、想定外であったことは、従前より世界中が想定していた強毒性(高病原性)の鳥由来の新型インフルエンザ(A/H5N1)のパンデミックでなく、弱毒性のタイプであったことである。当面は弱毒性の新型インフルエンザへの対応が必要であるが、潜在的に強毒性の新型インフルエンザの脅威は存在しており、今後の報道や厚生労働省のホームページ内の情報には注意が必要である。今回は弱毒性とはいえ、未知のウイルスによる新型インフルエンザへの備えの重要性に、再認識を迫られる出来事であった。
想定内であったことは、前述のとおり強毒性の新型インフルエンザを想定した備えを進めていた国のガイドラインや行動計画、また自治体ごとの対応準備や個別企業で構築が進められていたBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)の対応範囲内で済んでいる点である。国内では現在も発症の報告数が若干増加傾向にあるものの、今回の新型インフルエンザ感染による死者は出ておらず、爆発的な感染拡大に至っていないことは幸いなことである。
しかし、新型インフルエンザの流行は過去の例からも2~3回ほどの流行の山があり、WHOも現在は初期段階であり、「第2の波」への注意を促している。これらの内容も想定内の情報である。また、現在は弱毒性の新型インフルエンザウイルスが、強毒性に変異する可能性もあるとの複数の専門家の指摘もあり、国から各種団体、企業から家庭、各個人まで、引き続き正確な新型インフルエンザに関する情報・知識を収集し、秋口以降に備えることが肝要である。

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社会研究部   准主任研究員

青山 正治 (あおやま まさはる)

研究・専門分野
少子高齢社会・社会保障

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