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1.
中高年世代は、一律的にある程度の金融資産を持った像として捉えられる向きがあるが、保有金融資産の分布からは分散が大きい。また、金融資産保有額の変化は全体(差額の平均や中央値)でみると大きな変動はみられないが、個々人でみると変動している。
2.
貯蓄の目的としては「老後の生活資金として」「病気や不時の災害に備えて」との回答率が高い。この回答率には、対象年齢による差が小さい、調査年度が新しくなるほど高くなる、といった特徴がある。
3.
金融資産保有額が多い層ほど基本的な老後生活資金が確保されているという意識が働く。一方で、保有額が少ない層は、老後の経済的な備えを不十分と考える人が多く、その解決手段として働き続けたいという意向が高い。これを実現するために必要な雇用の場の提供が求められる。
4.
富裕層(=金融資産保有額が1,500万円超の層と定義)と一般層(=金融資産保有額が1,500万円以下の層と定義)の生活満足度を比較すると、「現在の貯蓄」「将来への備え」といった経済面の意識において富裕層が高いという特徴がある。一方で家族、近所との関係などの意識においては、富裕層と一般層に大きな差は見られない。
5.
貯蓄や運用に関する考え方について富裕層と一般層を比較してみると、富裕層の方が行動や考えが積極的である。特に「有価証券などに分散させる」「長期的視点から運用投資考慮する」という項目では一般層との差が大きい。
6.
金融機関の破綻や株式市場の下落といった周辺環境が変化している中にあっても、富裕層の資産運用に関する意識変化については、ほとんど見られない。金融機関や金融商品を選別していこうという意識の進行スピードは意外とゆっくり進むと判断できる。
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糸谷 興一
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